中上健次集〈1〉岬、十九歳の地図、他十三篇
中上健次集〈1〉岬、十九歳の地図、他十三篇 / 感想・レビュー
minoru
読点のリズムがなんかいい。「岬」は結末の姦通する場面が印象が強すぎたが、瑞々しい感性が終始あった。それは肉体労働に従事し自然と一体となることを望む秋幸の心情と、死のにおいがどことなくする“路地”との関係があるのだと思う。
2024/03/29
紫電改
久しぶりに私小説という感じの小説を読んだ、著者の経験や内面からの実体験によるものかな?もう古い小説だが、今読んでも読みごたえあり、兄や姉、母との確執や血の繋がりという話が多いが引き込まれてしまう
2020/11/20
Yanqiu
自死した兄をもち、姉や妹をもち、再婚した母と荒くれ者の実父をもつ男、それはまず第一に中上健次自身であるのだが、それでいて彼の描く物語の登場人物でもあり、幾多の物語において別の人物としてたち表れる。様々な方向から放射線を当て一点に集めて腫瘍を焼くというような方法で数多の人物たちを透かして中上健次自身が立体的になってくるように感じる。いまさらながら『蝸牛』と『岬』の間のつながりに気づきました。『十八歳』『海へ』の荒削りでいて詩的な文章は非常に好みです。
2017/11/16
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