中上健次集〈4〉紀州、物語の系譜、他二十二篇
中上健次集〈4〉紀州、物語の系譜、他二十二篇 / 感想・レビュー
ひろゆき
図書館より。紀行文好きで、そして一般に著名な作家なら一作品はとにかく読もうじゃないかという気概でこれを。生まれ故郷の半島の「紀州」の紀行文だが一貫して部落差別がテーマかと。差別は美意識、それ故差別者は美しいなどの言葉は記憶に残るが(作者の立場は被差別者の側なのだが)、文学に論理は厳密に求めないけど、直感と飛躍の論理でこの長さは正直しんどい。その他,谷崎潤一郎などにふれた「物語の系譜」はソシュールまで出てきて興味深いが私にはどうも。むしろ二十二篇の小品の類いが、人となりがわかり、私にはとても面白かった。
2018/03/24
Yanqiu
個人的に一番面白かったのは「兄妹心中」論。兄妹心中は、いまYoutubeなどでヒットする範囲で聴けるものだと、高石ともや&ナターシャ・セブンの曲調(現在は削除済)を代表として、ほかは大体それの系譜という印象をもつのですが、ここでは「江州音頭」の節であると書かれています。江州音頭を聴いてみると全く前述のものとの関連は感じられず……それらの関係、「兄妹心中」の系譜がより気になる本。全体的に著者の小説につながる人物が沢山登場し、興味深いです。
2018/05/01
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