不完全なレンズで―回想と肖像
不完全なレンズで―回想と肖像 / 感想・レビュー
keroppi
先月、ロベール・ドアノーの写真集を見て、他の本も見たくなり、図書館に予約した。この本は、写真集ではなく、ドアノーの回想による文。回想と言っても、まるで銀盤に焼き付けられた記憶のように、断片的で、感覚的。被写体となる詩人や画家や作家やパリの風景が、その時受けた感覚のまま綴られる。説明を読まなければ、それが誰かすら分からない。しかし、惹きつけられる。その人が誰か分からない写真に惹きつけられるように。
2019/04/04
ほじゅどー
★★★フランスの写真家ドアノーの原動力は好奇心、不服従の精神、そして魅了される力。洞察力に満ちた感覚で日常に潜むドラマを作品に残している(例えばパリ市庁舎前のキスなど)。頑固で不器用でややひねくれたユーモアのある彼の話し言葉のような自伝(すこし難解ではあるが)を読むことができることは大きい。彼が写真を撮るに際して影響を受けたのは詩人だった。きみが《写真を撮る》って動詞を活用するときは、いつだってレンズの半過去形でなんだ(ジャック・プレヴェール)。
2016/10/27
ネロリ
ドアノー自身による回顧録。レジスタンス運動、写真の立場、友人たち、時勢、写真の商品化や抽象化などについて。特に興味深かったのは、ブラック、レジェ、ピカソ、ブランクーシ、などの撮影の仕事。彼らの自宅を訪ね、撮影の許可を貰おうとするのだけど、一筋縄ではいかない。画家たちの個性が見えた。言葉たち。「身体の曲がった人々がその店に入り、まっすぐになって出て来る。イメージの盗人には見逃せない細部だ。」「ぶらつきは孤独な悪徳である。」パリの街を歩いて待ち続けた観察者。翻訳は堀江敏幸氏。
2012/04/21
あくび虫
馴染みのない固有名詞が多すぎるのと、今一つ入ってこないでんぐり返し気味なアイロニーで始終煙に巻かれている気分でしたが、なんとなくお洒落で嫌いじゃなかったです。
2022/01/15
Koki Miyachi
ロベルト・ドアノーのエッセイ集。掲載された写真は、大好きなドアノーの写真なので、もちろん最高なのだが、翻訳が全く合わなかった。違和感を感じるあまり頭に全く入らず。定評ある翻訳者だと思ったのだが。。。
2022/02/10
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