リマーク 1997-2007
リマーク 1997-2007 / 感想・レビュー
踊る猫
さながら最果タヒの初期の詩のように、切り詰められた言葉を詩的に撒き散らし瞬間を切り取ろうと著者はあがく。だからここではアイデアは常に出る尻から提示されるだけで、それについて深く考察されることはない。故に、生煮えの思いつきの羅列のように読める。だが、注意深く読むと著者が常に「私がここにいること」「生きていること」に問題系を設定して、世界の奇跡や神秘を語る言説へとその個人的な問題をつなげていることに気付かされる。いわば「セカイ系」哲学(!?)。ここからなにかが始まるとは思わないが、侮れない一冊でもあると思った
2022/02/28
双海(ふたみ)
謎の思索日記。著者の認識を辿るメモ。ほんとうにわけがわからない。わかるものだけ幾つか拾ってみる。「死ぬことは重要ではない。人は必ず死ぬからである。だから生きることが再び重要となるのである」・「理性はまっすぐに伸びてゆく 感覚は滲んで広がる」
2016/08/27
Bartleby
著者の思索日記。出版されてすぐの頃読んで、それ以来久しぶりに手に取った。今なら「ああそうだったのか」と思えるところあるけど、やっぱりほとんど分からない。それでも詩を読むように断片的な言葉たちを眺めていると、徐々に日常の底が抜けるような不気味さを感じさせられる。でも、それだけじゃない。なんというか、少し、落ち着く。
2014/08/13
Ryosuke Kojika
超私的な認識メモ。1997年、著者37歳。ほぼ現在の自分と同じ齢に、「絶句の息遣いに耳を澄ま」し、何を見たか。そして、私は何を見せられているのやら。何某である「こいつ」は狂気じみた、突拍子もない、そして、そうとしか言い得ない謎に魅了される。知れないけど知りたい。考える。沈黙する。感じる。呟く。「一度狂った人間は二度狂えないのだから、狂気と正気は表裏なのではなく同一なのだ」。
2019/12/11
なつき
『リマーク 1997-2007』読了。歴史上においてもおそらくはたぐいまれなる、まったき哲学者、池田晶子氏のこれはメモ……なのかな。1997年から2000年の記述がメイン。まあしかし読んでいて笑ってしまった。じつに氏なのであるものな。私もちょうど今年で、氏に哲学に誘われて十年だ。
2017/05/04
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