曇天記
曇天記 / 感想・レビュー
KAZOO
堀江さんの久方ぶりの随筆集でいつもながら楽しませてくれました。そんなに大げさなことではなくてもこのような随筆の題材にしてくれてしまうのが堀江さんの真骨頂なのでしょう。随筆なのですが、本当なのかなと感じられるものもあったりします。再度読みかえしたくなります。
2018/12/21
南雲吾朗
情景の描写、心の在り方などをなぜこれほど美しく表現できるのか…堀江氏の文章は、読む度に感嘆させられる。 晴天は眩しすぎるし、雨は鬱陶しい。変な奴だと思われるので、あまり他人には言った事がないが、私は曇天が好きである。本文中に出てくる中原中也氏の詩が、堀江氏の文章によって、また違った味わいに感じてくる。あぁ、本当に良い読書だった。
2020/12/08
もりくに
図書館の書棚を回遊していると、所々必ず目の留まる箇所がある。堀江さんもその一つだが、何となく「端正」さが強く感じられて敬遠していたが、今回手に取ってみた(というほど大仰なものではないが・・・)。読んでみて、とてもびっくらこいた!確かに「端正」であったが、時々「クスッ」とさせてくれるのだ。始めのうちは、この人は何でこんなに面白いことに出会えるのかと、不思議に思った。そしてハタと気が付いた。面白いことに出会ってるのでなく、我らと変わらない日常を、「日常的でない」視点で捉え、面白く書ける「表現力」があるのだと。
2018/11/26
プル
この方の作品の場合、急いで読もうと思えば読めるのに、すごくゆっくり読むことになる。まるで息をしながらとでもいうのだろうか…。一つの短い作品ごとに、色んなことも考えてしまう作品です。
2018/05/24
niisun
作者の堀江氏が“あとがき”で表する「初動の鈍い遅効性の言葉」で書かれた随筆。曇天の空の下、また、雲のかかったような世の中を歩きながら、作者が捕らえた見えざる風の姿を言葉として書き留めたような散文です。実在の場所も、実際に起きた出来事も直接表現しないため、絵空事の様にも感じられる不思議な文章。しかも、相変わらずの表現力。曇天一つとっても「形の崩れたやわらかい筆ですりそこねた墨を塗ったような、むらのある雲が覆った空」や「露出ミスの白黒写真のような光に覆われた曇天」など、見たものを言葉に変換する才には脱帽です。
2018/10/16
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