ちいさな桃源郷
ちいさな桃源郷 / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
「人に知られず、どこかにひっそりと埋もれているつつましい山、かわいらしい山、静かな山(中略)他のどの山よりも深い愛着を抱いている山」と手放しで「カッパ山(筆者命名)」を褒める研究者の文章には、思わず笑みがこぼれ、「あむばあ」「うむばあ」という謎の生物が登場するIII章を担当した版画家の文章には「まるで宮沢賢治の童話『やまなし』みたい!」と、かつて使った教科書を引っぱり出したくなる。『黒沢小僧の話』に出てくる「小豆ばばさ」は京極夏彦氏の『巷説百物語』に登場する「小豆洗い」のバリエーションかもしれないと想像。
2005/01/28
hitsuji023
どの話もどこか懐かしさを感じる。それは出てくる場所が派手な観光地ではなく、有名な山ではなく、ちょっとその辺の日本のどこにでもありそうな風景だからだろう。日本人なら誰でも持ってそうな日本の山や自然に対するイメージ。この本を読んでも何か役に立ったり、為になるようなことはないかもしれないけれど、山や自然が好きな人にとっては、いい時間が過ごせることだろう。
2022/07/02
ぱせり
昭和33年から58年まで25年間続いた、山の雑誌『アルプ』から厳選の33篇。急激な経済成長の波にも流されず、我が道に誇り高くある。山を愛する人たちの思いがそうだったのか。「アルプ」という雑誌に、そういう人たちが集ったのだろうか。心に残るのは『廃屋の夏』『峠の日記』『ちおんばの山』『黒沢小僧の話』
2023/06/03
yaemon1950
六十数年も生きていると、ある時、ある場所の懐かしくも手の届かない記憶が有ります。今は無き場所で嗚呼この場所は自分のものだと感じた自分の桃源郷を思い出しました。その様な記憶を持つ方はぜひ読まれると良いかと思います。自分の桃源郷を思い出して下さい。
2014/03/28
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