吉本隆明が語る親鸞
吉本隆明が語る親鸞 / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
パソコン不所持の私は残念ながら付録DVD-ROMの講演は聞けず。本は吉本さんと糸井重里の対談に始まり、5回の講演が続く。印象としては、親鸞の思想に吉本さんが『私は親鸞は多分こうだったと思います』と、あれこれと足している感じ。それが正しいのかはわからないが、魅力的な解釈だと思う。
2013/04/05
i.s
我々はいつも中途半端なんだ。常に良いことだけでしているばかりでは無理がある、人間なんて悪いこともしてしまうんだ、そういうもんなんだと。これを大前提として、どう振る舞うか。親鸞という人は、これを理論立てて説明したんだねぇ。親鸞の思想にすごく興味を持ちました。
2012/07/31
アンパッサン
最初に末木文美士『親鸞』を読んでおいてよかった。吉本隆明の親鸞はあくまでも吉本が望む親鸞。重きを置いているのが歎異抄で、最後まで書き直しを重ねた教行信証にはあまり乗っかっていない。ましてや和讃なぞは付け足しじゃないか。浄土のとらえ方(この世とあの世の中間点?)も吉本がそうとらえたいだけじゃないのか。もしこれを最初に読めばうなずいたかもしれないが、後世の思想家が自分の思想に反映させようとして親鸞を拝借した、んじゃないのか。実際、親鸞は吉本がいうように割り切ってはいないのは教行信証にかけた時間で明らかでは。
2019/07/16
amanon
収められた五回の講演の内容に重複する箇所は少なくないのだけれど、それが余計に吉本の親鸞に対する思いが感じられる気がする。「弥陀の誓いをいっぺんでも唱えたらよい」という親鸞の教えは、当時にとっても、そして現在においても非常にラジカルなものだが、その教えをあまりに皮相的に捉えた人達があまりに多いところに、現在の仏教界が抱えた問題の多くが潜んでいるのでは?という気にもさせられた。そして何より考えさせられたのが、善悪の問題。僕が信仰するカトリックとはいわば真逆であるが、だからこそ踏みとどまる必要性を感じた。
2013/07/25
月ママ
吉本さんの書く「親鸞」の本を読んでみたものの、すごく難しくてリタイア。本書はその内容をかみ砕き、話し言葉で優しく語りかけてくれている。 説法っていうのは本来、こういうものなんだろうな。 「信仰」というものをさて、言葉で理解するのはとても難しい。 文中、「理屈の問題としてでなく、心の経験としてうまく理解することが出来れば、親鸞の考え方の一番中心のところを理解できたということ。」のところが最高のキモでは。 説明をするとウソになるから、とそれでも氏は最後まで徹底的にそこを 追求された。名著です。
2012/04/14
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