いのちの詩集 (SDP Bunko)
いのちの詩集 (SDP Bunko) / 感想・レビュー
やすらぎ
夏よ。陽は沈めど我冷えきらず、幾度瞬きするも星あるわけもなく、雨降ることなく草木残らぬ闇となり、夜露の肌に渇ききる蟻を追う。遠く海辺の月凪も、深く山嶺の残雪も、遥か空高き烈風も、何処へ向かう。静謐に香る花なし。心よ。靄よ✨中原中也さんに触れるとそんな言葉が浮かんでくる。真夏の涼しさとも恐ろしさとも異なる気を感じる。本書には、いずれも若くして亡くなった立原道造さん、八木重吉さんも綴られている。光も音も奪われ、心は散る秋を待つばかり。冬を夢を待ちわびるわけでもなく。雲は風に任せて離れては一つになり囁いている。
2023/08/10
恋
眠れぬ夜に丁度よい詩集だった。 中也の刃物のような詩、立原道造の自然愛的な詩、そして、死の病の床で描かれた八木重吉の詩で結ばれている。 中也にとっての命と、八木にとっての命が同じとは感じない。暴れる自意識を従えて、次々に鋭利な作品を描き出す中也と、八木の病に伏せる者の生への素朴な望みは詩として対照的に思えた。 立原の詩は多くは収録されていないが、柔らかで自然愛的な包容力がある。 この詩集に足りないのは、これらの詩を「いのちの詩集」として抜粋した理由だ。本のどこでもいいので、示していれば尚良かった。
2020/02/27
HARUKI
読んでいたら切なくて、悲しくてたまらなくなった。 こんなんじゃ眠れない。 この詩集は寝る前には読まない方がいいね。
2014/06/19
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