透明人間 再出発
透明人間 再出発 / 感想・レビュー
pino
切ない。あと一滴、水が体にはいったら泣くかもしれない。半透明の紙に書かれた詩。厚紙に焼かれた写真。普通の言葉で綴られた詩と、いつもの風景が切り取られた写真。ページをめくると、それらが交互にあらわれる。変わった造りの本の中の、いつもの言葉と風景。あと一つ、あと一歩。つかもうとして、どこかへ消えてしまったものたち。泣きたいけど、泣けない。笑いたいけど、笑えない。そのうちどこかへ忘れ去られた感情。珍しい装丁が気になり手にした一冊だったが、ここに、あった。あの言葉、あの風景が。それは、ずっと変わらず足元にあった。
2013/02/25
Gatsby
詩集を片手に、という柄ではないが、この本は本屋さんで目に留まった。あれ?と思って見てみると、やはりミシマ社の本である。詩集と写真集のコラボレーションで、写真は青山裕企氏、詩は谷郁雄氏。ミシマ社創業5周年の特別記念企画で、半透明のシートに詩を、その次のページに写真をという企画。そしてオビがまたいい。うちの嫁ならすぐに取って捨ててしまうのだろうが、オビも特別な凹凸のある紙を使ってある。すごい言葉が並ぶわけではないが、日常のちょっとした悲しみと幸せを表現した詩。青山氏の写真と紙やインクのにおいとの相性も良し。
2012/12/24
モッタ
★★★★☆ 詩人谷郁雄さんと青山裕企さんの共著。谷さん青山さんのサイン本を購入。そして、イベントで青山さんの英語版サインをもらった。さらに、そのイベント後、ミシマ社のお手伝いをしていたかいもあって、ご飯をご一緒にさせてもらった。青山さんのお話は興趣がつきなかった。将来、ぜひ一緒に仕事したいなー。自分を成長させ、頑張ろう!とモチベーションが一気に上がった。ちなみに、青山さんの主な著書(?)には、吉高由里子の写真集『浮気』、『ソラリーマン』などがある。
2011/12/17
May
★★★★☆ この本のセンスはすごい。美しい本ってこういうことを言うのかもしれない。青山さんの写真の上にスッと浮かび上がる詩。まるで透明人間が本当にそこにいて、ぽつりぽつりと詩を呟いているよう。手書きの詩はなんだかとても優しくて、自分自身に寄り添ってくれます。じっくりと時間をかけて読みたい、そして大切な誰かにも読んでほしい。そう思える本でした。
2019/02/11
にこちゃん
詩は押しつけることなく寄り添ってくれるように思う。写真は創造力をかきたててくれるように思う。どちらが欠けても、ここまでの造りにはならなかったはずだ。触れたとたんに、感情があふれた。胸があつくなった。ミシマ社さんは、一つ一つ丁寧に心を込めているからこそ、こういった本がさらに輝くのだとおもった。人間の本質をついた言葉たちであるように思う。
2013/02/18
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