カレル・チャペック戯曲集 (2)
カレル・チャペック戯曲集 (2) / 感想・レビュー
NAO
カレル・チャペックのなんとも風刺的な二つの戯曲。「白い病気」自分が出世し権力を得るための手段として戦争を引き起こし、平和を忌み嫌う利己的な権力者たちと、彼らと立ち向かうガレーン医師の孤独な戦い。それがテーマなのだが、白い病気をめぐっての様々な人間模様がなんともリアル。未知で不治の病気に対する人々の恐怖、その病気をめぐって垣間見えるエゴなど、現在の状況に照らし合わせるとなんともいえない気持ちになる。「マクロプロスの秘密」は、長寿薬の話。いくら長生きしても、死からは逃れられない。
2020/12/03
くさてる
カレル・チャペックの二つの戯曲が収録されています。パンデミックを扱った「白い病気」の迫力は認めつつ、私が面白かったのは、「マクロプロㇲの秘密」のほう。百年も続く相続争いに介入するオペラのプリマ歌手。謎めいた魅力を持つ彼女の狙いは何か……というコメディなのですが、そのテーマは真剣なもの。でもそれを軽やかに描いていて楽しめました。
2020/12/02
ばんぶー
二つの戯曲、ふたつとも面白いですが、特に「白い病気」は、正体不明の死に至る病のパンデミックを題材にしています。カミュの「ペスト」とも異なり、病気の治療法を発見した医師が、その知識を武器にして社会を変えようとするのですが、読む人は多分、そこで倫理とか、権力とか、政治とは何か?について悩むと思います。そしてその悩みは、現代の日本でも切実な問題として存在していることに気づきます。 この作品が、1937年つまり太平洋戦争の直前に書かれたものなのに、それが今の日本において身につまされて感じます。
2020/11/03
げんさん
1937年の作品とは思えない。コロナ禍に読むべき
2021/01/19
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