深夜百太郎 入口
深夜百太郎 入口 / 感想・レビュー
nuit@積読消化中
舞城王太郎初読でした。前情報なしに普通の怪談ものかなと手に取って驚きました。なんとも新感覚!描き方の視点が新しいのか今までにない不思議なテンポと語り口で、一つ一つのお話が本当におもしろい!こういう切り口は自分にはすごく新鮮な気持ちで読めました。以前から気になっていた作家さんですが、他の本も読んでみます。その前に、まだ後半の『出口』がありますね。
2016/07/03
みっちゃん
この訳の解らない不気味さ。彼らがこのとんでもない事態に陥ってしまうその原因は、まず判らない。知らない内に異界に通じる「穴」を開けてしまうのか。この厄災の前で、人間は無力だ。窮地から救おうとしてくれる者も、「この世の者」でなかったりでますます何とも言えない気持ちになる。一見風景に見える写真も、何か変なモノを見つけそうで、なるべく目を逸らす。早く【出口】を読まないとこの世界から出れなそうで怖い。
2015/11/27
藤月はな(灯れ松明の火)
『平成怪奇小説傑作集3』での短編が面白くて読みました。怪談の新境地じゃん!後、この作品集は脳内を音声で殴りつけるようなフォント遊びがないので結構、嫌で怖い場面でも笑えるのが不思議だ。いや、笑う場面やないんやけどね!個人的に家庭内の地獄を描いた「十二太郎 笑う鬼」が鮮烈に心に残った。後に激しい怒りを伴う悪夢で目覚める程だったから。駄目な部分を持つ子供を強くする為という理由とそれが楽しいからという壊していくというスパイラルは止まらない。何が「元の自分にあった全ての私らしさを総動員して泣いてみせる」だ、人でなし
2020/04/08
めしいらず
舞城版「百物語」の前半50編。最初の数行で読み手の心を持って行く導入、予断を許さぬ筋運び、不安を煽る語り口、そして何より意味不明なまま宙ぶらりんに置き去られるこの居心地悪さ。やはり上手いなぁ。「ゆらゆら」「グルグル」「蛍の光」「穴の蓋」「図書館の彼女」「横内さん」辺りはホントに怖いよ。中でも著者独特の美しい文章と世界観、百物語の最初を飾るに相応しい「アナタタ」、庇護されていた幼い頃の懐かしい感覚を呼び覚まし、その温かさが何だか切ない気分へと誘う「家族の手」が特に素晴らしい。後半も楽しみ。
2016/06/25
眠る山猫屋
数ページほどの奇妙で不気味で、時々〝愛〟が隠された物語が五十話。心揺さぶられた『淵の王』に通じるような物語群。舞台は福井県西暁市と東京都調布市に限定され、登場人物たちに共通項もない。とんでもない事件に巻き込まれてしまうというのが唯一の共通項か、今のところ。後編たる〝出口〟でもそうなのかな?ストレートな心霊譚もあれば、舞城さんらしい主客が変転するような物語も。すぐ隣に落とし穴が待っている、そんな身近な怖さがひしひしと迫る。キングっぽいワード遣いも小憎らしい巧さ。じっくり考えちゃうと本当に怖いよ。
2019/11/22
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