もう一度 倫敦巴里
もう一度 倫敦巴里 / 感想・レビュー
kinkin
これは面白い本。雑誌「話の特集」や「オール讀物」に1960年代後半から1970年代前半に載ったパロデイを紹介。映画ファンでもある著者の和田誠さんらしく映画のパロディから小説家、漫画家のタッチをパロディ化したものに氏の似顔絵を加えとても楽しく出来上がっている。冒頭には「暮らしの手帖」ならぬ「殺しの手帖」があったり、兎と亀を有名な映画監督が撮るとどんな風になるか、小説「雪国」を他の作家が書くとなど、和田誠エッエンスが丸ごと入っている。映画に音楽に小説にと、ほんとうに才人だなあ^^図書館本。
2017/05/19
らぱん
見て楽しく読んで楽しい。絵画、映画、小説、マンガ…ジャンルを跨いでのパロディで、本人は「もじり」と言っている。彼の似顔絵は相手の特徴を捉えて簡略化し独自の表現をする。似てる似てないは、技巧とは別物でどこをどう使うかがセンスであり才能なのだと思った。文筆家の似顔絵つきの文体模写では川端康成の「雪国」がアレンジされ、映画監督たちの「うさぎとかめ」もある。絵にはダリ風のイヤミやクレー風ハタ坊などから、シャガール風ジョン・レノンや4人のビートルズはルソー風だ。和田誠は面白い人だったのだと今更ながら思った。合掌。↓
2019/12/07
八百
記憶の彼方に消え去りそうな私の青春、飽きもせずに小劇場に通った鞄の中にはつかさんの角川文庫とハイライト…どちらも和田さんでしたね。他にもゴールデン洋画劇場や週刊文春、監督作では怪盗ルビィなどなど挙げればきりのない素晴らしい仕事をされました。にも拘らず「ボクのはふざけてやってるもじりに過ぎません」と照れるお人柄が素敵ではないか。40年ぶりの復刻版の本書、川端康成「雪国」のもじりは本好きなら読まずに死ねない最高傑作。図書館ならあります、強力推しです。不世出の天才アーティスト和田誠さんのご冥福をお祈りいたします
2019/11/07
阿部義彦
この本との出会いは高校時代の常連だった喫茶店です。遊びに行くたびに何度も読み返し、図書館でも借りました。版元が倒産したため絶版で、Amazonでもかなりのプレミアがついて入手困難だったとかは今知りました。ナナロク社さん復刊ありがとう。何よりも今回雪国シリーズの続編として「海外編」そして「日文続編」として、ばななや春樹、椎名さんや井上陽水までがボーナストラックとして書き加えられています。感激です!また倫敦巴里を巡る小冊子も付いての大盤振舞です。今回読み返してのお気に入りは谷岡ヤスジ、オラオラ鼻血ブー!最高
2017/01/22
還暦院erk
定価購入。時間かけて読了。大昔、母が定期購入してた「暮しの手帖」をわたしも愛読してたので、「殺しの手帖」の企みは細かいところまでわかり過ぎで笑った。大好物。あと、ネタ元は古いけどビートルズ・三角大福・ニクソン(笑)・三億円事件モンタージュ・谷岡ヤスジや赤塚不二夫の「名画化」など、本当に手がこんでいて何度見ても面白い。映画の予備知識が無いので兎と亀シリーズは少しわからなかった残念…。『雪国』の「文体練習」は秀作が多い!星新一や筒井康隆の回とか、独立したショートショート並のクオリティ。熟年世代なら超おススメ!
2017/11/11
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