変光星──ある自閉症者の少女期の回想
変光星──ある自閉症者の少女期の回想 / 感想・レビュー
Natsuko
日本で自閉症当事者が語った最初の本と他著で知り読んでみた。1963年生の森口さんが学生時代には自閉症という言葉も、世間の認識もなくさぞ生きにくかったと想像する。時代とはいえ専門家の「愛情不足が原因」との通説に親御さんも心を痛めただろう。症状についての記述は多くなく復習として読めたが、壮絶ないじめの描写は読んでいるだけで辛かった。「死ね死ね」と言われ「shine shine 輝け輝け」と自分を励ます件は悲しすぎる。音楽や英語という才能を自覚し成長できたのが救い。どうか今お元気で活躍されていますように。
2020/10/31
ぼっせぃー
「協調性」が批判なく“良きもの”として扱われていた1970年代の義務教育下で、自閉症を持つ筆者が過適応に陥り、やがて学校という場所と制度に「敗北」したと語るに至るまでが詳細に描かれる。筆者は自らに「協調」する能力が無いことを嘆いたが、それを有していると思っている(あるいは、思われている)我々も、それをどのくらい意識的に捉えられているか考え出すと、答えに詰まってしまう。完全に生得的なものでもなく、状況にのみ依存するものでもない、そういった曖昧な薄い板を深い穴に渡して、その上に胡座をかいているのではないか。
2020/11/24
るい
幼少期から、中学卒業まで、よく覚えているなと思うほど、こと細かに書かれている。お気に入りのモノ、友人とうまくなじめない理由がわからなかったこと、母に対する思いなど、専門書で解説されることが、そのまま著者の実体験として描かれており、衝撃的だった。特に、著者が自分を自閉症だと理解し、周囲に適応するために努力をし始めたのに、いじめがエスカレートしていったことが、印象深かった。自閉症の人が、集団生活になじむのにいかに困難を覚えるかということがよくわかったし、私たちは具体的なアドバイスができるようになる必要がある。
2015/03/15
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