波打ち際に生きる
波打ち際に生きる / 感想・レビュー
ソングライン
フランス文学の研究者と作家の二つの顔を持つ作者の東京大学退官時の講演「波打ち際に生きる」、最終講義「時間と近代」がまとめられた講演集です。波打ち際とは、不安定さであり、境界であり、異界との出会いの場所であると語り、そこで出会い影響を受けた人々、作品を解説しています。時間と近代では、ダーウィンの種の起源を境に、億単位の時間をめぐる科学的な知が、人間の宗教感を変え、怪物として人間を脅かすようになったと説明し、この時間の束縛からの遁走を夢想するのがこの後の楽しみと締めくくります。
2018/08/24
しゅん
東大退官講演と最終講義の二本の講義録。それぞれ「波打ち際」と「時間」を主題とした論は、ともに人間が体感出来ない非現実的な「現実」(「波」の向こう側や数千万年という時間単位を人は現実的に感じられない)とどう関係を結んでいくかという問いを抱えており、そのヒントとなる先人たちの試みを一つの流れへと結んでいく言葉は緩やかに移ろいながら読者を新たな場所へと連れてゆく。ヴァレリー、バルト、折口、ヒッチコック、キャロル、ウェルズ、朔太郎。絢爛な名に敬意を表しながら、強固なシステムに組しない揺らぎの感覚が魅力的。
2018/04/10
takao
ふむ
2023/06/28
保山ひャン
東大退官記念講演「波打ち際に生きるー研究と創作のはざまで」と、最終講義「Murdering the Time-時間と近代」、そして、松浦寿輝著作一覧に著者自身がコメントを寄せている。ヴァレリー、バルト、折口信夫、ブルトン、フーコー、ヒッチコック、ゴダール、萩原朔太郎、中江兆民、ダーウィン、ヴェルヌ、ニーチェ、ウェルズ、ボードレール、吉田健一などなど、守備範囲の広さと面白さは格別。最終講義ではとくにルイス・キャロルについて多く語られていて、興味深かった。
2015/03/26
tetsuya
久々に帯もとっておきたくなった。
2013/08/21
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