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近代日本の文学史

近代日本の文学史

近代日本の文学史

作家
伊藤整
出版社
夏葉社
発売日
2012-04-20
ISBN
9784904816059
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近代日本の文学史 / 感想・レビュー

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さらば火野正平・寺

また夏葉社の本を読んだ。いい本である。面白かった。名著と言われる大作『日本文壇史』を書いた伊藤整が、カッパブックスの1冊として発表した文学史である。思えば総集編である。前史としての徳川時代から、深沢七郎『楢山節考』あたりまで。無数の作家と作品が出てくる上に大衆文学や演劇や俳句・短歌・詩まで扱う。それらがその当時どんな存在感を持ち、どんな影響力があったかがよくわかる。知ってるつもりになっていた文学史だが、私の持っている断片的知識がきちんと流れの中に整理されて爽快。小林信彦『日本の喜劇人』以来の通史の感嘆。

2019/08/01

Sam

明治維新から昭和33年までの日本文学史を概観したもの。教科書のつもりで居住まいを正して読んだが意外に面白く読めた。膨大な情報量ではあるが単なる羅列ではなく時代の思潮や流派の勃興、文学者の人となり、筆者による評価も描かれており、章立てもコンパクトでリズムよく読める。著者は評論家だと思っていたら詩人・小説家でもあったようで自作も各所で紹介されているところに自負が感じられる。最後の昭和33年は大江健三郎が「飼育」で芥川賞を受賞した年。最終章では石原慎太郎が新しい時代の文学者として取り上げられていた。時は移る。

2022/05/30

ハチアカデミー

A 帯文にもある通り、日本の近現代文学愛好家は「必携」の一冊である。近代文学の始まりから太宰の死までの主要作品を知ることができる。そして何よりも歴史的に書かれる文学史が非常に面白い。第一章の文学の起源から、第八章の自然主義の発生までの流れは、さながら「近代文学」を主人公とした大河小説の様。本書で言及のない作家にも良作、傑作はあるだろう。乱歩、久作ら幻想文学への言及も無い。それでも、日本の近代文学において何がスタンダートとされているのかを知ることはできるし、未読の傑作を知ることができる。

2012/06/22

白義

一冊で見通し広くまとめた近代日本文学史。いわゆる近代文学だけではなく、政治、雑誌ジャーナリズムや詩歌までバランスよく扱い、同著者の名著、日本文壇史を一冊に圧縮した内容。ただし、幻想文学などいわゆるステレオタイプな「近代日本文学」から外れた作品は少なめではある。戦後文学にはさすがにあまりふれていないが、明晰さと詳しさが見事に両立しており、堂々とした名著である。とりわけ、明治編は最初海外向けに書かれたというのも大きいのか、予備知識があまりなくとも当時の雰囲気がわかる。復刊が実にありがたいことである

2012/08/16

belle

荒川洋治が巻末エッセイで「だいじなのは最新の事項や年表ではない。文学史のおもしろさや魅力が、読者の胸にしみこむことである。」と述べている。まさにその通りに、400頁超えを読み切った。夏葉社から2012年に50年ぶりに復刊されたが、2021年には第3刷。水色の真新しい本で江戸時代末期からの文学の流れに身をまかせた。読み心地よし。

2021/06/13

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