仙台ぐらし
仙台ぐらし / 感想・レビュー
ヴェネツィア
『仙台学』に連載されていたエッセイ集(15篇+短編小説1篇)。やはり、2011年3月11日の大震災、及びその後の歩みが重い。伊坂氏自身は大きな被害を受けなかったようだが、やはり当事者としての視点から語ることができる人だ。現在の仙台の町の中心部を見る限りは、一見すっかり元通りになったかに見えるが、福島も、そして東北全体も復興からは遥かに遠い。今こそ赤坂憲雄の東北学がその真価を発揮する時だ。一方、伊坂幸太郎もまた仙台発のメッセージを発し続けることだろう。そうした意味でのリージョナリティに富んだ1冊となった。
2014/04/27
hiro
05年から震災後までのエッセイと震災に関わる書き下ろし短編小説を収録。私は、ある作家の小説をある程度の数を読むと、どういう人か知るためエッセイを読みたくなり、今回伊坂さんのエッセイを初めて読んだ。まず自宅ではなく、コーヒーショップやファーストフードの店で、あの伊坂作品が生まれているのに驚いた。伊坂さんは、北朝鮮の人工衛星や震災前から地震などを心配するたいへんな心配性で、また読者から声をかけられたと思ったが、勘違いと気付き赤面するところなどに好感が持てたw この本を読んで、ますます伊坂作品を読みたくなった。
2012/12/24
れみ
伊坂幸太郎さんのエッセイ。タイトルにあるほど仙台ならではみたいなことが出てくるわけではないけど、数年前に2度ほど仙台を訪れたことがあり、なんとなく風景を想像できる感じがして読むのが楽しかった。いつも小説を読むことが多くてエッセイは初めてだったけどやっぱり文章上手いなと思わされる。とはいえ、心配性な様子を読んでいて、そのうちの地震は本当にやってきたわけで…その辺りはなんというかいたたまれなくてちょっと辛かったし「心が骨折」という表現に胸を突かれる思いになった。
2015/01/11
団塊シニア
心配性で自意識過剰な筆者、仙台での暮らしを市井の人の視点で日常が綴られており同じ仙台在住の者として身近に感じ親近感が湧く内容です。かつて筆者を大型書店で見かけたことがあり、コーヒーショップ等で会えるかも…。最後の短編小説は石巻の牡鹿半島を舞台にしており心地良い読後感のある一冊です。
2013/04/01
修一朗
本を出せば必ずヒットの当代きっての売れっ子作家さんではあるのだけれど、身近な出来事を中心に綴ったこのエッセイの中の井坂さんは、やや心配性の、自意識高めの、感性豊かな人でした。コーヒーショップはしごして原稿を書き、自動車税が安いという理由で軽自動車に乗り続け、猫に庭でウンチされて困ってしまう優しい人でした。震災後は何も手につかなくなったとのことだけど、bookmobileのような、読んだあとにフッと嬉しくなるような本を,これからもお願いしますね。
2015/05/24
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