娘に語る祖国
娘に語る祖国 / 感想・レビュー
ゆに
二部以下は微妙。娘への呼びかけである必然性がなく、よくある作りすぎの人情小説という感じ。全編においてミソジニーが目立ってちょっと読むのつらいのだけど、それでも一部の最後でほろりと来てしまうあたり、手腕を感じる。混じりけのない家族への愛が全編に溢れていて、それでいいじゃないかと思うのだけれども、それでもなお、家族にあえて「祖国」を見出そうとする著者に、人の、あるいは在日の、「祖国」へのどうしようもない拘泥をあらためて感じた。面白おかしい語り口の裏に潜む、つかこうへいの屈託に思いが及ぶ。
2016/08/16
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