津波のまちに生きて
津波のまちに生きて / 感想・レビュー
さな
放送大学「災害社会学」で紹介されていた本。著者は気仙沼出身の民俗学者。第1章と第2章の、災害にかかわる部分を中心に読む。p102の「津波を含めた多くの災害と共に歴史を刻んできた、この列島の人々の災害観や自然観をまずは認めることで、さらに防災や減災の計画を立てていかなければならないだろう」の一文に強いメッセージがある。この少し前のページの荒浜の話も含め、そこに生きる者たちが津波を受け入れてきた生活文化、精神文化をないがしろにした復興はあり得ないということだ。3章は三陸の漁業に関する民俗学の内容なので割愛。
2024/02/06
yyrn
気仙沼に生まれ育った民族学者が、被災地の状況やこれまでに研究した三陸の漁村生活の文化や風習を語っている本。二度と同じ津波災害を繰り返さないために必要な備えとは何か。民族学者的な考察から、海と漁師を離すべきではない、高台移転は文化を断ち切ると語るが、為政者には云えないセリフだろう。ただ、過去の津波被災はいずれも他所者が来て復興を果たしたという言伝えを紹介していて、なるほどと思ったが、ただ漁業が今の時代でも魅力ある産業か?漁業以外で海辺に住みたいと思う理由が何かほかにあるだろうか?
2013/05/23
ekura
民俗学は科学ではない、文学だ、と揶揄されることがあるが、ある意味では的を射ている。ひとの人生に向き合ういとなみは、文学たらざるを得ないからだ。
2018/12/11
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