名草戸畔〜古代紀国の女王伝説増補改訂三版
名草戸畔〜古代紀国の女王伝説増補改訂三版 / 感想・レビュー
こぺたろう
じっくり時間を掛けて読了。いやー、これは面白い。日本書紀に少しだけ出てくる、謎に包まれた女王「名草戸畔」を追います。神武東征に関係する神社や土地が、和歌山市内を中心にワンサカ出てきます。こういう伝承を知ることは、郷土愛の醸成に繋がると思います。大人になってから和歌山に来た私自身は、全然認識していませんでしたが。ルバング島から生還した小野田寛郎氏も、謎を解くうえでの重要人物になっており、小野田氏の語る口伝も興味深かったです。
2019/03/09
ゆきこ
和歌山に伝わる、古代の女王「名草戸畔」伝説について書かれた本。日本書紀では神武軍に殺されたとされる先住民族の女王名草戸畔だが、地元の口伝では全く違う事実が伝えられていた。筆者が様々な史料や現地での聞き取り調査をもとに、謎を解き明かしていく過程が書かれています。約2000年以上昔の出来事が、(内容の真偽はともかく)現代まで地元の人々の口伝により伝わっている、という事実に感動しました。自分のご先祖様、ルーツを大事にするということは大切なことです。古代史についてもっと勉強したいと感じました。
2015/09/28
のりきよ
日本書紀で神武軍に殺されたとしか書かれていない名草戸畔であるが、宇賀部神社の宮司を代々努めてきた小野田氏の地元伝承によると、名草戸畔の率いる名草軍は上陸してきた神武軍と激戦を展開しこれを退けたそうである。名草戸畔はその戦いで戦死したが、東南アジアからの系統を持つ名草の民はハイヌヴェレ型神話の伝統に基づき名草戸畔の遺体を3つにバラして別々の地に埋葬した。この伝承が史実ならば、確かに神武軍が名草戸畔との戦い後に紀ノ川を東進してそのままヤマトに入らずわざわざ熊野まで迂回しなければならなかった理由がスッキリする。
2014/03/26
のりきよ
約3年ぶりに再読。およそ2千年の長きに亘って脈々と名草の地に語り継がれてきた地域伝承に、改めて畏敬の念を抱いた。と同時に、地元の人たちの名草戸畔への深い深い思い入れが伝わってきた。小野田口伝が伝える名草一族の移住ルートの沿線には必ずと言っていいほど楠信仰が存在しており、そこに樹木を信仰の対象としていた「木国」の源泉を垣間見ることができるという。いや~、本当に名草は歴史が深いね。このような貴重な伝承を集めて世に広く公開してくれた著者に敬意を表すると共に、感謝します。
2017/07/13
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