次の時代のための吉本隆明の読み方 (飢餓陣営叢書)
次の時代のための吉本隆明の読み方 (飢餓陣営叢書) / 感想・レビュー
yutaro sata
『共同幻想論』の対幻想を、ブラザーの問題として考えるところなどが面白い。兄弟分、という立て方で共同体が拡大していく。 また、この本は、地図や座標といった言葉が中心軸になっているのだが、その軸から、吉本さんの仕事を、どう世界を見、異なるものを繋ぎ合わせていくかの試行の過程として捉える、という村瀬さんの理解の仕方があり、その仕方に素直に沿っていくと、分かりやすくなることも多い、と感じた。
2023/12/30
マッピー
吉本隆明を読み解くための思考や思想を説く本ではなく、どちらかというと、村瀬学の思想を補強するためにうまく吉本隆明を使っているように読めた。興味深かったのは視線の話。「垂直からの世界視線」は身の丈の視線。 「上から見る目」は空間的な高みを表わしているだけではなく、「時間を見渡す目」でもある。1階から2階、2階から3階と、費やされた時間を上から一望できるというイメージで。だから権力者は上から下を見渡したがる。身の丈の視線を忘れず、なおかつ上から見る目を感じ続けること。煽られて自分を見失うことがないように。
2016/12/14
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