仏教の言説戦略(サンガ文庫) (サンガ文庫 ハ 1-1)
仏教の言説戦略(サンガ文庫) (サンガ文庫 ハ 1-1) / 感想・レビュー
ころこ
「誤解をおそれずに言えば、〈日本〉は、ことばから最も遠いのである。〈日本〉は、西欧のごときことばの制度というものをしらない。」仏教の本から思ったら著者の初期論文集でした。大きく3部に分かれています。タイトルに近いのは第2部の5章と6章ですが、7章でイスラムの言説戦略を論じています。ではなぜ仏教が論じられているかというと、「私の理解では、宗教こそ、言語ゲームとして記述するにふさわしいもの」だからです。言語ゲームとは言うまでも無く後期ウィトゲンシュタインの言語観です。前期の写像理論が西欧の「ことばの制度」だと
2020/12/21
またの名
「例えは悪いが、仏塔というのは、新左翼セクトにとっての大学自治会のようものではないだろうか。彼らは仏塔供養の祭礼(?学園祭)をプロデュースすることによって、教団の資金活動を捻出する…教団の間に、仏塔運営の主導権を巡る争奪戦が繰り広げられる」との例えが本当に悪い(でも的確)。自分が悟ったという宣言が真実か不確定な仏教と自分の私的心情を明示できない言語ゲームとを重ねる表題作のみならず、フーコーや法に貨幣、イスラム、日本に関する諸論を収録。宗教史を言語ゲームとして語れるなら人間社会の離散統合や抗争も語れるはず。
2019/09/10
感想・レビューをもっと見る