なんだなんだそうだったのか、早く言えよ: ヴィジュアル論覚え書 (五柳叢書)
なんだなんだそうだったのか、早く言えよ: ヴィジュアル論覚え書 (五柳叢書) / 感想・レビュー
ころこ
なかにはアラーキーや太田省吾のような固有名も登場しますが、30年近く前の全く知らない写真展の批評文。アラーキーなどもアラーキーらしさを想起しているだけですが…写真論としても恐らく成立していない、情報価値が限りなくゼロな文章。読むとは、いったい情報を入手している行為なのか、それとも何か別の体験なのか迷います。「徒手空拳で戦うのが批評」という持論の著者の文芸批評や戦後論は、そうはいっても実質がありました。作品を鏡にした著者の自画像の繰り返しではないか、という批判があってもおかしくはない際どい題材です。
2020/08/06
ワンタン
ビジュアル論覚え書、という副題のとおり写真についての短い論評が中心で、絵、演劇、映画、マンガ、音楽についての文章も少々。写真家では自分は荒木経惟とロバートメイプルソープしか知らなかった。知っている作品のところを拾い読みしていったが、やはり個人的に思い入れのある太田省吾(転形劇場)についての文章が特に面白かった。加藤典洋の批評には独特のまだるっこしさがあると、読むたびに感じるのだけれど、自分にはそれが心地よい。対象について何かしら新しく気づかせてくれるものがある。
2019/08/22
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