絶望という抵抗
絶望という抵抗 / 感想・レビュー
姉勤
下品とは、自分の姿をわきまえず他者を下劣と見下すことだろう。自らを良心的知識人と称し、 意見を異とする他者を罵倒する。彼らは若き頃、著した意思によって、評価と賛同を得て現在も文筆で食っているのだろうが、今の様に、知らないものを伝聞と仄聞で評し、断定する事で自らの地位を得たか、今一度自省してみるが良い。しかし、それができぬから老いであり、古来より「老害」と称される。まとめの、笑いが失われたとされる、今の世の中で、あなた方の姿で笑いましたよ。ただ、決して「嘲い」ではないです。
2019/07/10
壱萬参仟縁
佐高氏: 特定秘密保護法に反対する際、名前を挙げたのは田原総一郎氏と鳥越俊太郎氏。挙げなかったのは古舘伊知郎、後藤謙次、池上彰の各氏(120頁)。 辺見氏: 石橋湛山は大したものですね。湛山には人間にたいする敬意があった。 佐高氏: 湛山全集に、竹内好氏が「我が石橋発見」を寄稿、湛山は中国の抵抗運動の意味を理解した日本人。また、経済は 数字ではなく哲学だということ(142頁)。
2015/04/30
ごまめ
タイトルに惹かれて読んだが、期待しすぎたせいか少々拍子抜けした感が否めない。この本を手に取るほとんどの人間は既に現状に疲弊している者だろうし、そうでない人は(要するに「希望」を持つ人は)おそらくこれを読んだからと言って対置的に世界を見つめなおしたりはしないだろう。最もこの対談からは読者を啓蒙しようという意図もあまり感じられない。辺見氏の論調には時折イラッとさせられるが、日本の弱みは「個」が成熟していないことという指摘は頷けた。
2014/12/15
白玉あずき
「読書の秘密」を守るどころか、読書歴を自から読メで世間様に公表しちゃうんだから、何とも呑気なものだ。そのことが心配になる位、最近の世の中は不穏だ。この本を読んで、やはりこの流れに抗することは手遅れなんだろうと思う情けなさ。今迄の常識、価値観が崩されていくこの圧迫感と恐怖はほんとに苦しい。単なる加齢による「環境との不適合」ではなく、生存環境の悪化に対する生物としての反応なんだろうと思っているが、世間の不満不安が国家主義に吸収されていくのか・・・・国家の暴力から身を守ると言った発想は最近ないのかな。
2015/02/21
ophiuchi
辺見庸の名前を聞かなくなったのはマスコミの自主規制がその理由だったことが明らかにされている。他にも同様な扱いを受けている人が思い浮かぶし、この中で批判されている姜尚中のように微妙に立ち位置をシフトして生き残っている人も少なくないように思う。ISILによる日本人殺害事件を受けて言論統制はさらに進んでいる。今年は安倍内閣が意図するように、70年に及んだ「戦後」が完全に終わり「戦前」の始まりの年として記憶されることになるのだろうか?
2015/02/11
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