佐藤泰志作品集
佐藤泰志作品集 / 感想・レビュー
あつひめ
そこのみにて光輝くの映画化をきっかけに手にした一冊。深い…人の心の中を見透かすなんてものじゃなく、自分自身でもどうにもならないざらざらしたものまで描かれている。その表現されている世界は四季のはっきりした北海道によく似合う気がした。この中には、佐藤泰志さんの心のざらざらがつまってる。映画化ということがなかったらまだまだ読もうとは思わなかったかもしれないけど、読んでよかった気がする。エッセイも入ってるから、作られた世界ではなく佐藤さん本人を知ることもできたし。
2014/05/30
ω
ドドド読了ω! ずっとこの作家さん気になってて、幾つか読んだし映画も見てました。作品集一気読みってなかなか無いんですが、読み終わるのが勿体ないような気になってしまった。どれも現実的で、主人公は一貫してる。きっと作家先生は最初から最後まで己と向き合ってたんだな。芸術的な文学を久々に堪能したぞ( ^ω^ ) …この後何読めばいいのか。。。そんな喪失感。
2024/04/21
riviere(りびえーる)
構成や文体、女性の描き方などに不満が残るにもかかわらず佐藤泰志の作品には魅力を感じる。社会の底辺で汚れながら生きる人たちが見せる生命のきらめき、そして拭いようのない不安がある。死後20年以上たって続々映画化されているのは自然災害や戦争の影が身近になった今だからこそなのかもしれない。『黄金の服』で主人公が読んでいるヒューバート・セルビーの『ブルックリン最終出口』なる実在の本に興味を持った。かなり過激そうなので多分読まないとは思うけれど。2016年封切り『オーバー・フェンス』が載っていないのが残念。
2015/08/29
OHNO Hiroshi
芥川賞か三島由紀夫賞を受賞していれば。。。中上健次とは違う、でも直接的な、生きる、言葉と行動をする登場人物。作者が真面目すぎるのか。軽い、お洒落な、とは反対側にある。応援したくなるばかりだ。長生きしておれば、どんなテーマで小説を書いたのだろう。僕は何度も佐藤泰志作品を読み返すしかない。でもそれは心地よい時間なのだ。
2017/09/12
fubuki
【図書館本】何だか切ない。映画になった原作も多く、書評や評伝ができたり、自死後33年になろうとするが、今になってじわじわと人気が出てきている。平たく言えば青春小説ということになるのだろうか。退廃、懊悩のなかで明日に進もうとする力。家族があって地方があって、その中でもがき悩む若者たち。ほんのちょっと前の事なのだが、苦しくてハチャメチャでも心通わせる人間関係があった時代だ。生きていれば佐藤は、私たちに何を語ってくれたのだろう。この時代のあなたの声が聴きたかった。
2022/07/13
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