哲学の密かな闘い
哲学の密かな闘い / 感想・レビュー
踊る猫
永井均にとっての最強のパートナーであり論敵とは、実はウィトゲンシュタインなのではないか? そう考えると永井もウィトゲンシュタインも、実に「子ども」の哲学者だ。この言葉がどうして伝わるのか(「私的言語」!)考え抜き、この世界がどうして実在するのか考える。あまりにも幼稚。あまりにもベーシック。だが、その初歩的な問題設定が実は奥の深い哲学へと至り得るということを、身を以て示す人なのだと思う。だから彼の哲学は使えない。少なくともライフハックにはならない。だが、いつからライフハックは哲学になった? 哲学病患者は必読
2020/03/14
へくとぱすかる
<私>についての議論から始まるので、永井氏の著作を読み慣れた人には非常にとっつきやすい。<今>との関連に話は進んでいくが、惜しいところでニヒリズムについての議論に切り替わる。このあたりは倫理の周辺をめぐる話で、誰もが考えることなのに、今までの哲学的な追求の程度が、実はまだまだなのだと示されるのには驚くしかない。時代がそれを要求するようになったと考えるべきだろうか。最後は私的言語の話だが、核心がよく理解できなかったので、この部分は再読が必要だと思った。
2014/07/16
colocolokenta
私にとって、初めての哲学の専門書。日本語で書かれているということに大変重要な意味があるとは、私が関わっている自然科学との違いが際立っていて興味深い。なぜ人を殺してはいけないのか、など自分の中で知らなかった多くの考え方に出会った。中には、私にとって危険な思考パターンすら含まれていて、極めてエキサイティングだった。哲学書を読み慣れていない私には、残念ながら、すべてを理解することはできなかった。要、再読。
2013/07/31
nizimasu
ちょっとびっくりしたんですけど、この哲学者さんの言葉遣いがなかなかわかりやすい。哲学はかなりロジックをこねくり回すようなイメージがあるんだけど、具体的な例を挙げて検証していくような構成。これが昔、ドリカムを初めて聴いた時のような(笑)、シンプルな言葉での表現が、的確でしばしうなってしまったほど。かなり子供や十代に向けての講義になれているのだろうなと思わせる。本を読みながらしばし「哲学」してしまった
2013/12/18
テツ
永井先生の著書を読んでいると個人的にはあまり好きではないヴィトゲンシュタインを読まなくてはいけないという焦燥感に駆られる。言語ゲームの虚しさと難しさについて学ばなければ。 『ニヒリズムとしての哲学』がよかったな。「ある価値を信じて―あるいは信じたふりをして―戦わざるを得ない状況があることは疑う余地がない」 本当にそうだ。それでいてその上でその価値観を、自分自身の土台を疑ってしか世界と接することのできない人間と、自らの価値観について何一つ疑うことなく盲信することのできる人間とは決して交わることができない。
2015/09/27
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