美の仕事 脳科学者、骨董と戯れる
美の仕事 脳科学者、骨董と戯れる / 感想・レビュー
ホークス
骨董・古美術雑誌の連載。骨董商を訪ね、現物を見て触れた実感を気楽に語る。明治以後の現代物は、作者の自意識が貼り付いているから骨董と見分けられると言う。でも、この指摘にも強い自意識が感じられる。いつの時代も出来立ては作為の安っぽさがあり、それを時間が削ぎ落とすのかもしれない。金ピカの仏像もやがて古色を帯びる。日本人は物が古びる様子を「味」と評価した。通常の美感覚と共に、廃墟を愛でる幻視の力も働いている。多くの人がこの魅力を言葉にしようして、成功していないのが面白い。買う金は全然無いけど
2019/09/03
Kei
価値が判然としない骨董の世界に、脳科学の世界の茂木先生が挑むのが、おもしろい。良いモノと付き合うには、やはり良い人付き合いから。骨董は、結局は、人間。(笑)ネットやコンビニで、交渉、接触無しに買い物する若者達に、また違ったパーソナルな楽しみを提示してくれます。ナビは白州信哉氏。ちなみに、彼の両祖父が凄いです。(笑)
2015/07/18
さっちも
歴史ある中国、朝鮮に、市位の愛好家が人から人へと伝え、長く存在させ使われてきた骨董は意外に少ない。王朝や宗教が変わるたびに前の文化が否定される傾向にあり、都度名品が失われてきた歴史がある。ある種合理的でファジーな日本人は良いものはなるべく残して折衷してきた文化があり、現地に残っていないような名品も多い。本書では名品の数々がでてくるが、敷居はそれほど高くなく、鑑賞眼や美意識の考え方捉え方は素直に頷ける。うっとりするような写真の数々に恍惚とし、時間を忘れる読書となった。
2022/07/28
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