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「4分33秒」論 ──「音楽」とは何か (ele-king books)

「4分33秒」論 ──「音楽」とは何か (ele-king books)

「4分33秒」論 ──「音楽」とは何か (ele-king books)

作家
佐々木敦
出版社
Pヴァイン
発売日
2014-05-30
ISBN
9784907276133
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「4分33秒」論 ──「音楽」とは何か (ele-king books) / 感想・レビュー

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Ecriture

2008年、全15時間、全てジョン・ケージの「4分33秒」にあてた講義録に加筆修正を施したもの。「4分33秒」を形成したのが「無為の指定」と「時空間の限定」だとすると、サーストン・ムーアの有為の演奏は「無為」を切り捨ててしまい、ポール・グリフィスのように「いつでもどこでも『4分33秒』は鳴っている」式の拡大解釈は時空間の限定性を切り捨ててしまうという指摘はキレている。聴取を促す器や枠を提示するだけでは不十分で、聴くことを学ぶための仕掛けが必要だというフェラーリを経由したケージの批判的受容も至極真っ当。

2014/06/07

gu

その辺の知識が無い自分にも楽しく読めて、「4分33秒」が引き起こした思考や、現代音楽、現代芸術の試みを知ることができた。『作者の死』や『開かれた作品』といった固有名詞も頭に浮かんだ。前半は「枠と出来事」を軸として「聴取」をめぐる転換を、後半はそもそも聴く以前に時間の体験であるとする著者の考えを語る。『未知との遭遇』でも思ったけど、この人の論には独特のポジティブさがある。

2016/04/24

左手爆弾

有名なジョン・ケージの「4分33秒」を1冊に渡って語り尽くす...と言いたいところだが、正直、口語でやった講座をそのまま本にしているので、ページ数の割りに繰り返しが多い印象。筆者も最初の方で、ケージについて包括的に知りたい人は読まなくていいですとエクスキューズ、なんだかな。それはともかくとして、一応、「4分33秒」をどのような切り口で考えればいいのかは一通りわかる。①沈黙、②音と音楽、③聴くこと、④枠組み、⑤それでも表現すること、⑥虚無の贅沢さ、といった点だろうか。

2017/12/03

monado

4分33秒は出落ちなのか!?過去の論評、他の現代音楽、他のメディア芸術と比較しながら、その意義を探ってゆく内容。 途中で紹介されるアートや本が結構面白くて、そっちのほうに食指が伸びてしまった。 終盤の時間芸術=タイムマシン論は興味深い。

2015/10/14

寺基千里

全体を通じて、音楽よりも芸術を語る事にシフトしていった印象だった。佐々木氏は「聴取」となると個人の感性が影響し、定義する事は難しくなるので一度そこから切り離して考え直した。僕らは『4分33秒』を聞く/聴く事によって、4分33秒という時間を過ごしている事へと視点を変える。芸術の中で少なくとも音楽は「時間」を消費する事で成り立っている事が答えとして導き出した。芸術としての捉え方には十分納得できた。ここからいかにその問題を乗り越えて音楽の定義を打ち出していくかが必要だと言える。

2019/01/23

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