移動祝祭日 (土曜文庫)
移動祝祭日 (土曜文庫) / 感想・レビュー
三柴ゆよし
言わずと知れた文豪ヘミングウェイ若き日のパリ滞在記であり、エンリーケ・ビラ=マタス『パリに終わりはこない』のネタ本。ビラ=マタス読書会の副教材として読みはじめたのだが、往時のパリのたたずまいや作家間の交友関係の複雑さが興味深く、とてもおもしろく読んだ。文学上の師ガートルード・スタインや友人フィッツジェラルド夫妻に対しては親しみをこめて描きつつも、時にハッとするほどドライな批評を織り交ぜていたり、最初の奥さんとの離婚のいきさつを意図的に省略しているあたりも、ウェットになりすぎない適切な距離の取り方といえる。
2017/10/17
みゆき
時は1921年〜1926年、パリにおけるヘミングウェイ修行時代は「崩壊」の色彩を帯びている。親交のあった人たちの死、別れ、そして妻とも…。そんななか、ささやかな幸せを(ある種の皮肉を混ぜながら)享受する姿は感嘆させられた。しかし、妻ハドリーは不思議な存在に感じられた。「実体」がない。(この言葉は不適切かもしれない。存在感がないわけでは決してない。現実味が少ないというのが限りなく近いかもしれない)解説が終わるまで妻は本当にいたのか不安になることもしばしばだった。
2018/05/25
Roadblue
なんとも後味の悪さが残る。都甲さんの「100分de…ヘミングウェイ」で取り上げられており、これまで読んだことがなく、かつフィッツジェラルドやガートルド・スタインなどヘミングウェイの近親者について言及されているということで手にとったが。 テレビの放送などで都甲さんはいろいろと専門的な解説をしていたが説得力を感じずやっぱりこの手は好きになれないし、楽しめない。小説は楽しくなければ。中学生の頃に読んだ岩波新書(後に岩波文庫)の「世界の十大小説」に出てくるW.S.モームの言葉。今も読書の基本はここにおいています。
2021/11/21
naotan
ヘミングウェイはノマドワーカーだったんだなあ。フィッツジェラルドのキレっぷりと、大人なヘミングウェイの対比が面白い。そういえば著作を一冊も読んでいなかったので、買いに行こうと思う。
2017/10/20
うさこ
読み比べ
2024/07/23
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