世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集
世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集 / 感想・レビュー
やすらぎ
廃庁されホテルとなる奈良監獄。やりたいことがようやく見つかった。詩を書き続けること。そう、少年は記した。時が戻ればいいのに、刻まれたものを背負って歩いていく。愛している人が近くから誰もいなくなりそうです。笑いたいな。青空が広がるほど悲しくなる、心色。素直に甘えてみたい。声にならない想いを届けることもできず、でも、忘れることは決してできないから。初めて言葉にして自己に気づく。いつなのだろう、世界がもっと美しくなるのは。詩を読んで心が揺れ動き、その背景を知り、いたたまれなくなる。誰にでも各々の生きる道がある。
2024/08/12
しいたけ
人に詩を聞かせること。人の詩に耳を傾け感じること。柔らかい色をした奇跡は、全てここからはじまる。詩は心。この場を与えられた感謝を表されると、重たい来し方が透けて見え、思わず目を閉じる。何も持たずに生きてきた彼らが、見上げて胸に染み込ませる世界の美しさ。その美しさが、私の感じる美しさとは違っていることを、いつも忘れないでいたいと思う。わかった気にはなれない。でもわからないとも思いたくはない。「あの日から 遠くなればなるほど おかえりなさい が聞きたくて」。おかえりなさい を言ってあげたくて。
2017/07/10
けんとまん1007
奈良少年刑務所詩集の2冊目。先の1冊を読んで以来、何年も経っての出版ではあるが、感じるものは同じ。いろいろな経緯があってこの場にいるが、共通していると思うのが、自分なりの鎧を身に着けているということではないだろうか。その鎧が解け始めるのが、この場なのだろう。自分の思いを表現することで、少しずつではあるが、自分がわかり始めるし正直になれるのだろう。そして、それを後押しするのが、それを受け入れるということ。ここから始まる。
2020/05/21
なる
奈良少年刑務所に服役するのは17〜26歳未満の重犯罪者。更正への社会性涵養プログラムとして詩の授業を行う。ここに出席する少年たちが何らかの困難や問題を抱えて法を犯した者ばかりだということが自由に作らせた詩を通して明らかになって行く。もちろん全てが美談というわけではないけれど、収録された作品はいずれもネイキッドな感情がさらけ出されていて、詩に触れるものへ何らかのインパクトを与えるはず。その背景にはもちろん被害者もいる。その事実とも向き合いながら読む。奈良少年刑務所は残念ながら老朽化で廃されてしまった。
2021/06/02
ムーミン
時間をかけて読みました。一つ一つの言葉が深く重かったからです。まさに紡ぎ出される言葉の一つ一つを自分の中にも落として大事にしたかったからです。後半の解説部分も含めてとても勉強になり、心を清らかにする時間をもつことができました。
2019/08/22
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