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反逆する風景 (鉄筆文庫 へ 1-1)

反逆する風景 (鉄筆文庫 へ 1-1)

反逆する風景 (鉄筆文庫 へ 1-1)

作家
辺見庸
出版社
鉄筆
発売日
2014-10-30
ISBN
9784907580018
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反逆する風景 (鉄筆文庫 へ 1-1) / 感想・レビュー

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フジ

実にいろいろな「風景」を見てらっしゃいますね。フィクションの中の世界のようです。自分も知らず知らず、そういう「反逆する風景」を見ているのかもしれませんが、意識していないのか記憶には残っていません。味は記憶だ。だから人から聞いた知らない味の記憶も本当に食べたかのように錯覚してしまう――そうですけど、この本を読んだ人たちにも多種多様な味をあじあわせようとしているかのようでした。日本で生活しているだけではお目にかかれないような「風景」の記憶が、この本にはたくさん詰まっています。

2015/05/28

ソルト

「風景はかならず意味に反逆する」「風景が意味と言葉に対して凄まじい勢いで荒れ狂っているではないか」私には風景が反逆するさまが見えない。筆者の書いたものを読んで、ダッカの行倒れを、ハノイのぼろホテルを、観覧車のワゴンから見える数億トンのタールの溜まりみたいなベイを想う。実際には見ていないのに目に浮かぶ。私達は錯覚し、見たいように見、見るべきものは見ない。例えば「核軍縮と哲学の貧困」(1989年)「米ソ保有の5万発の核弾頭で5万回死ぬとする。その死がたったの4千回分減るからといって喜べるだろうか」もっと見よう

2016/10/26

sabosashi

一概にはニホンは日常性に埋没する社会であると言い切ることはできない。それなりに戦場のおもむきがあることも否定できないはず。だがそれにもかかわらず、いたたまれなさ、ということもありうる。すべてがフォニーっぽいから、なんてすでに廃れたことばを持ち出すまでもないだろう。一途さを必要としない社会、受け入れない社会。そんなことにもどかしさを感じるのはもちろん本書の著者のみではないはず。嘘っことばかりが並んでいるなかで、追い詰められたひとたちを目撃したい。著者は問題にみちたところへと駆けつける。

2024/07/10

qee

辺見さんの数多の経験が辺見さん自身に反逆する風景を思索する機会を与えたのだと思う。だって、普通の人はこんな奇妙な体験はしていないだろう。 まあ、していたところでそこに無意味に意味を見いだしてしまい、風景の反逆をなかったことにしてしまうのが普通の人なんだろうけどね。そんな普通の自分には辺見さんの感性には感じ入りました。世界を捉える新たな視点をいただいた気分です。 当たり前のことだけど、自分の見ている世界と他人の見ている世界は違うのだ。

2015/11/15

Melody_Nelson

昔に読んだ「もの食う人びと」を読んだ時ほどのインパクトはなかったけれど、辺見氏独自の視点にはハッとさせられることがある。「風景」が「反逆する」という表現からして、引き込まれる。 「他人の記憶を食う」や「カエサルの死の現場にBGMは流れたか」あたり、特に同感する。

2015/11/29

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