つぎの物語がはじまるまで
つぎの物語がはじまるまで / 感想・レビュー
まぁみ
天野さんの魅力がめいっぱい詰まった歌集。不思議なことに…三十一文字に感じない歌が多いのだ。五十字にも百字にも感じる深さがあって…。17歳から35歳までの作品集。読み応え抜群なのもわかります。短歌って素晴らしい。「森/楽園/橋」が好き。「夢のなかまで/その先の冒険/蒔いているのだ」がすんごく好き。ボーナス・トラック最高です♡宝物か増えました♪
2023/06/01
太田青磁
波照間のひかりを浴びた黒糖を溶かしたチャイであたたまってね・おみやげのはちみつ最後のひとさしを朝のひかりのなかへと溶かす・複雑にカスタマイズする珈琲は、珈琲だけは思いどおりに・てのひらに月のちからをためてから〈送信〉あおいひかりを飛ばす・会うたびに重ねていった輪郭はもう戻れないほどまでに濃く・目的地まで共にする旅人の距離感のまま暮らしは続く・夕焼けの歩道橋では立ち止まるやがて出てゆく街を見渡す・落下する視力を受け止めるためのむらさきいろ不安な果実・ラッセルを胸に走らせ何度でもあたらしく降る雪に祈ろう
2016/10/06
はち
4部プラスおまけ付きの、ベスト盤のような歌集。初期歌編から、漫画から、以前の歌集からの作品も、脚本まで、まるでおもちゃ箱のような一冊だ。第四部の出産や義父の死、東日本大震災以降を描いた歌がとても好き。それにしてもカンタンタンカから入ってきてる天野さんが初期とは言え文語を使っているのは面白いなぁ。今の文体はとてもナチュラルなのに。
2016/02/24
双海(ふたみ)
1979年10月19日生まれ。東京都三鷹市出身。短大で短歌サークル「はるか」を立ち上げる。98年、高瀬一誌さんの誘いで「短歌人会」に入会。「CUTiE Comic」連載「マスノ短歌教」に投稿。「泡だって溶けてなくなる石けんのようにあなたに忘れられたい」「美しい約束をした胸にあるアザミの蕾もゆるむくらいの」「わたししか触れない場所に触れられて釦はそんなところにあった」
2023/07/11
のむ
北村薫の文章読本系の著書(題は忘れた)で知った天野慶。一冊の本で読むのは初めて。彼女の短歌だけでなく、それを基にした脚本や漫画なども盛りだくさんで、とってもボリューミー&フレキシブル。IV章などは短歌のみであるけれども殆どエッセイである。好きだな、と印をつけた歌は多々ありますが、あえて(?)「楽園で不老で不死でアダムしかいないだなんて 退屈で死ぬ」を挙げておきます。あとボカロPのおばさん。
2018/01/10
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