あれは誰を呼ぶ声
あれは誰を呼ぶ声 / 感想・レビュー
たんかともま
当時を知らない者からするともはや時代小説。固有名詞が多く登場し、中には名前すら知らない物も登場するが、基本は有名どころなので何とかついていける。それらによってより70年代半ばの空気感がつくられているため詳しい方が楽しめそう。「愛か革命か」の愛側に比重を置く女主人公と革命側に比重を置く男たちの対比によって、多面的に時代が浮き彫りになる。野坂の『エロ事師たち』をそれぞれ解釈しているのも違いがあって面白い。大事件は起こらず、内面的な物語だが、恋愛面で読み進めると女が生き生きしていてよい。また、一番共感しやすい。
2018/10/26
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