ぼくの伯父さん 単行本未収録エッセイ集
ぼくの伯父さん 単行本未収録エッセイ集 / 感想・レビュー
Y2K☮
60&70年代に書かれたエッセイを集めたもの(ちなみに著者の映画監督デビューは1984年)。たしか沢木耕太郎がエッセイの名手と評していたのを思い出して購入した。読んでみて納得、いやそれ以上。多芸で守備範囲が広く(特に料理は趣味と書いているがそのレベルではない)しかもユーモラス。経済や教育に関する論から時代の一歩先を読む目も感じた。ちょっとしたダ・ヴィンチ。恵まれた才能ゆえか他の名手たちほど謙虚な筆致ではなく、しかしもちろん傲慢でもない。厳しい指摘をする際でも憎めない。こういう人の撮った映画なら見てみたい。
2023/09/11
Kepeta
ヨーロッパ退屈日記的なエッセイを期待して読んでみた。趣味的な話もあるけど、むしろ子育て論の方が強いインパクトを持っていたのは意外だった。父親が息子に対し「俺と付き合える歳になったらそこからは引き受けよう」と思っていても、その歳までに子供と信頼関係が作れていなければそうはならない、だから今から子育てに参加している、というのは今時のイクメン論より遥かに真理を捉えてますよね。ではそれを実行できているかというとなかなか...というところまで含めて自分を客観視して書けているからこそ洗練されたエッセイになっている。
2023/01/02
くさてる
単行本未収録エッセイ集。まるで年上の気の置けない(それこそ“伯父さん”のような距離感の)ひととお茶などしながら、耳を傾け、時々は笑い、うなずいたりしているような気分で読み終えた。慣れてないと癖があるように思えるかもしれない文体ですけど、そこがいいのでは。楽しかったです。
2018/04/21
mawaji
単行本未収録エッセイ集とはこれはお宝ということで池袋ジュンク堂で購入。語りかけるような口調の文章を書かせたら当代随一と椎名誠が絶賛していた…ように記憶している伊丹十三らしさ満杯のエッセイは主に60年代から70年代、著者が30から40代の頃の作品で「女たちよ!」とか「日本世間噺体系」を読み漁っていた大学生の頃を思い出しながらページを繰り続けました。モノンクル創刊号買った覚えがあります。岸田秀に派生して行ったのもこの雑誌がきっかけでしたが、あっという間に休刊になってしまったことがとても残念に思ったものでした。
2018/01/04
Ribes triste
10代の頃に伊丹十三のエッセイに出逢い、物事の見方や考え方を学んだ。日々の生活や様々な経験の中で、自分のアンテナに引っかかったものを拾い集め、掘り下げてみる。探求と究明の楽しみ。今また、伊丹さんのエッセイを楽しめる贅沢な時間を堪能しました。
2018/01/06
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