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あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室

あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室

あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室

作家
寮美千子
出版社
西日本出版社
発売日
2018-12-03
ISBN
9784908443282
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あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室 / 感想・レビュー

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ちゃちゃ

言葉の力で心の扉がそっと開く。その奇跡的な瞬間に立ち会わせていただいたような感動。重い罪を犯して少年刑務所に収容された少年や少女たち。評価しないこと、待つこと、安心・安全な場所の確保。加えて、受けとめてくれる仲間や大人の存在。「場の力・座の力」を得て初めて、彼らは自己の内面と向き合えたのだ。外から与えられたものではなく、内から溢れ出た彼ら自身の言葉が、自らの成長を促す重要な鍵だったとは。インナーチャイルドが叫ぶ「愛されたい」という魂の声。詩によって表現された彼らの切なる想いが、深く心に響く作品だ。

2019/12/18

しいたけ

荘厳な建物に閉じ込められた無数の哀しみ。そのやるせなさや恨みは、器の美しさとは対をなす。誰も聞いてくれなかった、誰にも言えなかった、誰からも大切にされなかった彼らの言葉。罪を犯し、孤独を深め、出逢いがあった。そこで初めてあふれてきた言葉は、やさしさで出来ていた。奇跡は彼らに起こり、少年刑務所で彼らと関わる大人に起こり、この本を読んだ私にも起こった。人が宝石であることを信じたい。いや、信じられる。大きな憎しみも、小さな喜びも、詩でうたえば輝く石になる。この後の少年たちの暮らしに詩が寄り添っていることを願う。

2019/11/29

あすなろ

童謡ぞうさんが唄えない子が居た奈良少年刑務所。彼等は加害者である前に被害者だった。作家である寮氏が始めた奈良少年刑務所内の教室。この体験をこの本で垣間見て驚く。コミニュケーションが苦手で困っても助けを求められなかったり嫌なことを頼まれても断れない。結果、追い詰められ犯罪へ。そんな彼等の多くは教室で己を優しいと表現する。読了後、僕若しくは世の大半が半ば勝手に想像している像と大きく異なっていることに気が付かされたのである。罪は罪。但し、そこに至る迄の背景は少年達の罪ではなく環境つまり家庭等環境にあるのである。

2020/03/17

ゆみねこ

読み友さんの感想で知った1冊です。寮美千子さん初読み。奈良少年刑務所で絵本と詩の教室の講師を務めた著者。童謡・象さんの歌を知らないで育った子、「宿題」の意味を知らなかった子、彼らは加害者になる前に被害者であったとも言える。絵本を読み、役を演じ、詩を書き、人の言葉に耳を傾けることで変わって行く彼ら。共感し、見守ることの大切さを学ばせてもらいました。とても良い本です。お薦め!

2020/04/01

けんとまん1007

先に出版されていた2冊の詩集を読んでから、この本に辿り着いた。詩集に至るまでの、まさに「ものがたり」。著者の正直な心情の吐露もありながら、一つの変化を目の当たりにすることで、次につながり、さらに変化が派生していくのが、手に取るように感じられる。中で出てくる「場の力・座の力」は、多少なりとも経験があるので、実感できる。人は、どんな人と出会うのか・・・これが、とてつもなく重要なのだということ。そして、人は変わりうるということ。明日への希望だ。

2020/06/09

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