戦争の法 (伽鹿舎QUINOAZ)
戦争の法 (伽鹿舎QUINOAZ) / 感想・レビュー
南雲吾朗
何よりも、まず本の感想を一言でいうと、兎に角めちゃくちゃ面白かった。戦争という悲惨な人殺しの世界。しかし目を覆いたくなるような描写はほとんどない。戦争に関わる人々の心境や考え方が面白い。特に、暴力に対して「麻痺」と「慣れ」の観念の違いには驚愕した。戦争だけでなく、様々な芸術が出てくるところも(その芸術に対する評価やスタンス)凄く好みのところである。全体としては、ミノタウロスと似たところもあるが、個人的には、こちらの方が好みである。
2018/03/13
ndj.
再読。初読時の不気味さ、不穏さは変わらず。N県、日本、アメリカ、ソ連のそれぞれの背景がほとんど説明されないゆえになにもかもが唐突に、「戦争の法」に飲み込まれていく。これほどたやすく人は馴化するものだろうか。とまれ、なんとも優雅で小粋なゲリラたちである。
2018/01/29
タカラ~ム
1992年著者の第2長編として刊行されたものの、いろいろあってしばらく絶版だった本書。2017年1月に著者自身が自前レーベルから電子書籍化し、同じ年の12月に熊本の出版社・伽鹿舎から復刊された。日本海に面したN県の独立という架空の戦争を軸にして様々な登場人物たちが戦いに身を投じ、苛酷な人生を生きる。人間のエゴであり、地方の現実であり、それらをすべて騙り尽くす信頼できない記録者の私がいる。何が真実で何がフィクションなのか。すべては虚構でありながら、すべてがリアルであるようにも思えてくる。読み応えのある作品。
2018/01/08
ななこ
難しいけど面白い
2018/05/02
yasuhitoakita
こちらも再々読。こっちもなかなか焦点を結ばないけど、面白い。佐藤先生の言葉の魔術に取り込まれてる感じ。
2019/03/16
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