ハッピーライフ
ハッピーライフ / 感想・レビュー
みっちゃん
これまでのエッセイにもあった、何とも不思議な読み心地の掌編、幻想的だけど全くのフィクションの北海道の風習。でもあんな抱腹絶倒の文章を編み出しながら、こんな物語世界を構築されていた事は、やはり驚き。精神に大きな負担がかかるような悲しみや苦しみを感じた時に、それを引きずらぬように、心が壊れてしまわぬように。人類が編み出した方策。心安らかに。穏やかに。そんな社会。なのに何だろう、この端々から滲み出る静かな絶望感は。苦しみがただの記憶になれば人は幸せになれるのか。人の心はそんな簡単なものではないのだろう。
2020/12/11
初美マリン
不思議な作品、感情に振り回されないことが穏やかというならば、心が動くほうが楽しいと認識させられる。苦しみであれ悲しみであれ、きっと嬉しいこともあるのだから。
2020/11/21
sayuri
「均された世界」「穏やかな人々」「絵の中の女」「理想の街」「本当の家族」「回収日」「墓」「灰色の雪」8話収録の連作短編集。全ページ数が109ページとかなり薄い小説なので1話1話は結構短い。全話に共通しているのは『入れ替わり』うーん、正直良くわからない。豆腐屋、鮮魚店、米屋、洋服屋等が並ぶ昔ながらの商店街近くで暮らす人々。リアリティがあるようで、いつの間にかどんどん人が入れ替わって行く。昨日の夫が今日の夫じゃない。喜びも悲しみも絶望も希望もない<穏やかで均された世界>って?SFの様であり哲学書の様でもある。
2020/11/09
美登利
お?読み始めこれはなかなか面白い設定だなぁと思いました。ケメコ先生初の小説(数年前のだけど)こう来たんだ〜。これまでのエッセイやTwitterのつぶやきからは想像も出来ない内容ですが、未来はこんな風になる可能性はあるような気がすると私は感じました。人々が争うことを止めて、誰もが等しく穏やかに生きるには激しい感情も無くしてしまわないといけなくなるのか。つまらない世界だと思うけれど。小さな街の商店街の近辺に住む、自分に違和感を覚えながら暮らす人々の連作短編です。洋品店のおばちゃんの最後の話が心に刺さりました。
2020/11/11
ネギっ子gen
【何もかもを曖昧に遠ざけることを穏やかであるというなら、世界はとても穏やかだ】 知る人ぞ知るユーモアエッセイの名手が書いた、不穏な連作短編小説。アイロニカルな表題です。<他人の感情が際限なく流れ込んでくるなら、世界は剥き出しの岩山のように猛々しいものなのだ。私は人を嫌い、誰とも話をしたくなくて、世の中のすべてを憎んだ。喜びも悲しみも怒りも絶望も希望も、すべての感情が等しく怖かった。負の思いだけが人を突き動かしているわけではないという事実が怖くて怖くて仕方なかった。そしていつでも寂しかった>。うん。イイ!⇒
2023/01/17
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