土門拳のこどもたち
土門拳のこどもたち / 感想・レビュー
やすらぎ
心地よい水浴び。少年たちの満面の笑み。1936年、伊豆の景色である。土門拳は戦前、戦後、江東、筑豊、日本の子どもを追った。撮ってどうするんだい。僕たちはいつどこでも遊びたいんだ。黒板にはこう書いてあった。「早寝、早起き、元気な僕等、皆は仲良、樂しく暮そう」どんなに苦しく辛い世界でも笑顔に救われた。みんなで団子になれば楽しくて寂しさを忘れられる。炭鉱が閉まればきっと離ればなれになる。あの清んだ笑い声も、泣きじゃくる叫びも、みんなの歌声も消えてしまう。かけがえのないあの頃を生きた子どもが今の世界を支えている。
2023/08/12
kaz
これまで見かけたことのある作品が大半のような気がするが、何度見ても、子どもたちの生き生きとした様子がうかがえる。もちろん、戦後、あるいは筑豊の子どもたちの中には、かなり苦労をした人がいたはずだが、それはそれとして精一杯生きていた。図書館の内容紹介は『「こども写真」の名手・土門拳。1935年に写真家としてスタートした時期から、戦前の出世作、名作「筑豊のこどもたち」を含め、1950年代までの「こどもたち」の写真164点を収録。北野武、岸哲男の寄稿も掲載する』。
2023/04/18
4番のトラック
子ども好き発見の一冊。どのページを開いても子どもたちの素敵な表情が写されている。泣いている顔も、怒っている顔も、必死な姿も、可愛らくして守ってあげたくなるし、思わず微笑んでしまって元気をもらえる。 『筑豊の子どもたち』の写真は悲痛だ。「この家をいまさら掃除してどうなるのかと思うのだが、どんなにおんぼろでも、るみえちゃんにとってはやっぱり自分の家だった。家がきたないという言葉は一番るみえちゃんの心を傷つける不愉快な言葉のようだった」というキャプションが頭に傷を抉る。
2023/01/10
読書太郎
昭和の子供たちを撮った写真家の土門拳。戦前からの写真をまとめた2022年の写真集だ。今はもう盗撮だなんだっていわれちゃうからこういう子供たちのスナップは撮りにくくなってしまったね。それでも誰かが撮っているんだろうけど。自分もカメラに向かってはいポーズって写真は好きじゃなくて、その人の普段の姿をそのまま写したものが素敵だと思っている。うちの姪も小さい頃は何も言わなかったけど、今じゃもうちゃんとキメてる写真しか撮らせてくれない。逆に言えば俺のことはいつだって撮っていいんだけど、誰も撮ってくれないんだよな。
2024/07/25
Qfwfq
★4.5
2023/02/19
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