少年と少女のポルカ(キノブックス文庫) (キノブックス文庫 ふ 1-1)
少年と少女のポルカ(キノブックス文庫) (キノブックス文庫 ふ 1-1) / 感想・レビュー
佐島楓
私はゲイではないし、とっくに少女でもなくなっているのだけれど、昔の自分の断片をそれぞれの登場人物に見出してしまって戸惑った。共感と呼ぶほど強い気持ちではないのだが、こういう時代があったよなあ、という郷愁に近い感情。それを直視しようとすると、なぜか涙が出てきた。
2018/10/17
りつこ
ビックリするくらい良かったので茫然としている。「少年と少女のポルカ」はゲイであることを自覚したトシヒコを中心に、女になりたいヤマダ、電車に乗れなくなったミカコの日常を描く。ヒリヒリ痛い物語なのに独特の乾いたユーモアがあって楽しい。書き下ろしの後日談が二話入っているのも嬉しい。「午後の時間割」は64歳になることに決めた浪人生のひと夏の恋を描いているが、この64歳設定が絶妙に効いていて何度も声をあげて笑った。過酷な目にあっても悠然と受け止めるヤマダのように辛い出来事を笑い飛ばす凄みを感じた。
2019/01/24
ぶんこ
皆さんの評価がいいので心苦しいのですが、私には合わず。途中に他の本を数冊挟んで読んでみたのですが、どうしても気がのらずに最後まで読みきりました。ホモにも予備校生にも反感はないが、興味もなく共感も無し。歳をとりすぎたようで、若い繊細さと言葉の軽さに馴染まないままでした。
2019/02/10
ゆきらぱ
「お気に入り」登録の方のレビューを読んで買いに行く。とてもとても良い。明るく照らされているかのようで真っ暗闇のようでもある高校生活を誰もが思い出すと思う。20年前の作品だけれど感覚が新しい。そういえば、作中トシヒコが聴いている「ボヘミアンラプソディー」は今また世界がときめいている。今回書き下ろされた作品の中でミカコがキリンジを歌っているのもいいな!と思った。生き易い人なんていないよね。皆苦しみを映画や本や音楽その他で癒しながら生きる。そして今回の文庫のカバーが傑作「先生の白い嘘」の鳥飼茜でこれまた嬉しい。
2019/01/28
シオウ
ゲイの少年、心は女で体は男の少年、電車にトラウマを抱える少女。彼らは、世間一般で言う普通からは少し外れている。でも、その事をただ事実として受け入れそのままの自分を生きている。その姿には諦めも開き直りも強がりもない。騒ぐのも問題視するのも周りだけ。そんな彼らを強いと思うが、そう思うこと自体、彼らを特別視している感じがして嫌になる。20年前に書かれた話だが、今読んでも古臭さは全く感じない。表題作、後日談共にいい。
2019/02/18
感想・レビューをもっと見る