シンドローム(キノブックス文庫) (キノブックス文庫 さ 2-1)
シンドローム(キノブックス文庫) (キノブックス文庫 さ 2-1) / 感想・レビュー
buchipanda3
ド嬢で紹介されて気になっていた本。勝手に児童向けSF感動ものと勘違いしてた。でもそれはそれで良かった。面白く読めたので。これはSF青春妄想こじらせ文学だった。ある日、謎の火球が学校近辺に飛来。騒動になるが”ぼく”はそんなことよりも久保田葉子のことが気になっていた。分かる。何といっても久保田さんは松本零士が描くあの女性のような美人だから。彼は彼女への気持ちに憑りつかれ僅かな不安要素を見つけて拡大し安心する答えを見つけるまで緻密な論理思考を繰り返す。非日常の中でさえ貫かれる現実性。ナンセンスだが痛いほど共感。
2019/04/13
佐島楓
謎の生命体の襲来が苛烈な自然災害を想起させる。自分の恋心を認められない「精神的」な主人公。極限状態にあっても現実をどこか遠いものとして眺め、目前の久保田葉子への想いに翻弄される姿が現代の人間としてリアルだった、というか、利己的になりすぎない性格は魅力に見えた。この後の物語は、脳内保管しかあり得ない。
2019/04/16
かわうそ
森見登美彦さんの解説にもあるように、モンスターの襲来すら内なる妄想・迷走・空騒ぎの材料にしかならない究極の「青春ひとり相撲」小説。ジュブナイルのようですが、かなり変な小説なので若者より大人の方が面白く読めるんじゃないでしょうか。
2019/04/14
そふぃあ
同じ言い回しの頻繁な繰り返し、過度に用いられる「〜、とぼくは思った。」や、「愚劣」という表現はすべて、 想い人とその周囲の人の心を勝手に推し測り、イチかゼロかしかないという視野狭窄に陥った「ぼく」の心を表現しているんだろうなと自分なりに考えたが、森見登美彦の解説の素晴らしさにすべて押し流されていった。青春はひとり相撲。
2021/03/28
p-man
宇宙から飛来した謎の生物に襲われるという状態で、主人公が黒髪の乙女を想い、ライバルの迷妄を否定しながら、実際には自身が見事な迷妄っぷりを繰り広げる。恋の一人相撲が独特な言い回しで表現され、なんとも不思議な読了感。 森見登美彦氏の解説も面白い。
2019/05/09
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