書物というウイルス 21世紀思想の前線 (Real Sound Collection)
書物というウイルス 21世紀思想の前線 (Real Sound Collection) / 感想・レビュー
ころこ
やや大げさなタイトルが付いているが、書評集。コロナの総括として、著者は「われわれは自分たちの社会をうまく統御できていない」という。最終的に大文字の政治がその役割を果たすとしても、その前提に我々の中には政治を駆動させるための思想が必要だ。マルクス・ガブリエルやスティーブン・ピンカーといった人文系から、村上春樹やカズオ・イシグロの小説など、知的な動向を多少気にする人なら知っている、本を読む機会の多い読者なら既読かも知れないベストセラーが多い。それらが横断的に言及されている箇所に出会うので、案外と著者のファンで
2022/10/21
hasegawa noboru
21世紀の思想の現在地=「前線」を<形作る書物の集合から、いわば思想の気象を浮かび上がらせる>のだと著者自らが冒頭でこの本の狙いを語る。<結局のところ、世界は良くなっているのか、悪くなっているのか?>(実証主義は必要だが十分ではないーースティーブン・ピンカー『21世紀の啓蒙』評 より)現実につきすぎず離れすぎず、思考する真摯な問いが背後に感じられるからなのか、恥ずかしながらそのほとんどを読んでない本の書評なのに、なぜだか面白い。<人間の心が書物を必要とするのは、動揺の少ない広々とした思考の空間を得たいから
2022/11/01
readerr
著者の言うところの「前線」にまさに居ると実感した。とらえどころのない空気、しかし確実に何かがせめぎあっている時代の雰囲気を「前線」と表現することに納得した。佐藤友哉を知り、読んでみたいが、かなり衝撃うけそうで怖い。書物というウイルスに感染すれば、読むことが癒しになるというわけにはいかない。
2023/01/19
ishida
いまの社会を背景にした書評。気取った言い回しが鼻につくところもあったが納得する部分も。
2022/12/04
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