うどん陣営の受難 (100min.NOVELLA)
うどん陣営の受難 (100min.NOVELLA) / 感想・レビュー
さてさて
『私自身はこの地域の出身ではないけれども、夜型でうどんが好きだし給料は減らされたくないし…という理由で緑山さんを支持している』。そんな思いの中に主人公を務める小林の視点で描かれた『会社の代表を決める投票』の様子が描かれたこの作品。そこには、会社員なら誰にとっても他人事では済まされない”社内政治”の舞台裏が描かれていました。美味しそうな『うどん』が”社内政治”のきな臭さと、面倒臭さを中和するこの作品。極めて津村記久子さんらしい、少し斜めに構えた視点からのサラリーマン痛快娯楽劇をそこに見た、そんな作品でした。
2023/07/10
みーまりぽん
お仕事・・・といふか、職場モノの中編小説。電子書籍として刊行されたものの紙化で、外観は小冊子っぽひ。 4年ごとに行われる会社の代表、その決選投票に向けての各派陣営の(闇)活動をいつもの淡々とした筆致で描いている。 てか、舞台となる「社之杜社」という社名を見たときに、「大林大森林公園」を思い出して、同じネーミングセンスじゃなひか!と笑ってしまったのだった。
2023/12/03
hiace9000
ポケッタブルでコンパクトなボリュームでありながも、津村さんの出汁を効かせて味わわせ、つるつると読ませる変則お仕事小説。社内政治に翻弄されまいとするうどん好き仲間の多い緑山陣営。第三勢力ゆえに対立する他陣営からの圧力、探り、囲い込み、連れ出しなど"リアル選挙戦あるある"のギスギスしたきな臭さを、「うどん」の風味とのどごしで中和させつつ描く、決戦投票までの受難の数週間。主人公こばちゃんのゆるいようでニュートラルな信念は、読み手の立ち位置や視点によく絡まる。気持ちよく、またほど良く心を満たすこの一杯を是非!😊
2023/07/29
うっちー
何か淡々と選挙が進む感じ
2023/09/08
ネギっ子gen
【今の状況を面倒だからってやり過ごして、なるようになれって放り出してしまったら、それはそれで自分自身は後悔する】4年ごとに開かれる会社の代表選挙。現体制は保守層から支持を集め、2番手候補は過激なスローガンを。両陣営共に動向を窺うのは、3位候補支持のうどん好きな社員たち。運動員の勧誘、ハラスメント手前の圧力などなど。会社の派閥争いに巻き込まれ消耗する悲哀が、コミカルに描かれる。前作から一転して、この薄さ。軽さ。「山椒は小粒でもぴりりと辛い」というフレーズが浮かぶ。動きが遅いパソコンの描写には、既視感が――。
2023/08/13
感想・レビューをもっと見る