コムニスムス
コムニスムス / 感想・レビュー
耳クソ
インドシナを巡る各々の戦争から、明らかに『ディエンビエンフー』が描かれた頃よりも時間として遠ざかったいまこれを読むとなぜか前作ような清々しさではなく、より生々しい近さを感じざるを得ないのは、じつはここに描かれて(しまって)いるのが戦争ではなく、戦争の面をした統治だからである。「Привет」と「Hello!!」が互いを「知る」とき、われわれの物語はたった800ページの黒い箱のような本のなかに閉じ込められる、戦争でもないのに追手は統治のために次々と襲いかかる、その宇宙の支配下にわれわれは現在もいる。
2023/04/30
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