め生える
め生える / 感想・レビュー
starbro
高瀬 隼子、5作目です。タイトルと装幀から可愛らしい作品かと思いきや、不穏な近未来禿純文学でした。 こんな不条理な世界は厭です。 https://publishing.unext.co.jp/book/title/3IF4fiJyOREy0kN7TshQND
2024/02/16
ケンイチミズバ
自分はまだふさふさなので薄毛、はげの悩みは考えたこともない。が、後悔はある。税理士の先生で若くしてはげあがった先生がおられた。決算が終わり、例会の席で酔いが回っており、イベリコ豚の生ハムをパクつきながら20代女子の「私おじさんでも全然OK、抵抗ありませ~ん!」という声に反応し、エビとアボカドサラダをほおばりながら「え~っ!はげでも?」と口にしてしまった。テーブルが凍り付いた。この人の作品は凄すぎる。感染症で皆はげになる。そうなると潔い。はげに近づくと感染し順繰り世界ははげ一色に。子供はなぜだか感染しない。
2024/01/17
道楽モン
デビュー作から1冊毎に、価値観の崩壊する領域が恋人、夫婦、職場、地元と広がって、最新刊ではついに世間がみんなハゲになったという設定。素晴らしい(拍手)。中編ながら、高瀬イズムは健在で、ますます読みやすくなる反面、読み手のリテラシーが問われることに。コロナ禍的状況を舞台に、個人の内面が、それらをどう認識し、いかに対峙するかというテーマで、本作は二人の主要人物にそれぞれ語らせている。文学的テーマにとどまらない、世間vs.自分という普遍的な闘いを、現代日本の作家さんが形にするとこうなるという見本。見事です。
2024/01/21
シナモン
謎の感染症で皆はげてしまう世界の物語。コロナ禍をビシビシと感じる物語だった。コロナ禍を題材にした物語はちらほら読んだけど、こんな風にそこからルッキズムや同調圧力にまでに膨らませたのは読んだことがなかったので斬新だった。「せっかくみんなはげたのに、生える人が出てきちゃ困るんです。そうじゃないと平等じゃない。平等じゃないとだめだ。困る、困ります…」どこまでいってもみんなと同じが大好きな日本人。面白かった。
2024/01/31
はにこ
世の中の大人が全員ハゲたら。そんな突飛なテーマなのに、心理描写がリアル。普通ならハゲはからかわれたり馬鹿にされたりするのに、生えていることに違和感を感じ、それを隠さないといけない世界。多様性とか言っていても、やっぱり人と違うのは怖いんだよね。この世がハゲの世界だったらと考える。ウィッグやタトゥーでおしゃれするのはそれなりに楽しそう。でも私はスボラだからハゲたままウロウロするんだろうな。
2024/05/27
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