記憶と生
記憶と生 / 感想・レビュー
白義
ベルクソンの様々な著書の文章を、改めてドゥルーズが編集、一冊の著書にしたかなり変わったアンソロジー。何せ、時系列も著作もばらばらな文章が、ちゃんと首尾一貫した構成のもとに繋がって読めるのである。ドゥルーズを通したベルクソン入門であり、ベルクソンを通したドゥルーズ入門とも言え、どちらかの単著ともなかなか言いにくい気がする。中身はとりわけ持続と生の運動について、ベルクソンの哲学の性質をよく伝える分かりやすい文章で、ドゥルーズがベルクソンから何を受け継いだかもわかる。解題も素晴らしい
2012/07/31
roughfractus02
自己の哲学を「人間の条件を超出するための努力」とした著者は、社会や世界から自己を規定する哲学に対して「自己による自己の創造」という課題を自らに課した。G・ドゥルーズの編集による本書は、持続概念の心理から記憶へ、生命から物質への拡張を背景とし、直観を方法として持続からの生の分岐を飛躍と運動によってを示しつつ、科学から哲学へ、さらに人間的条件の乗り越えへと、全6章・77項目を著者自身の言葉で描かれた新たな哲学地図作成の試みである。最後の77節「記憶と自由」には『物質と記憶』の最後にある言葉「自由」が置かれる。
2024/09/26
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