エ-ゲ: 永遠回帰の海
エ-ゲ: 永遠回帰の海 / 感想・レビュー
紫羊
今年の1冊目に選んで正解だった。写真も素晴らしく、しかもかなりの部分をしめている、でも、文章の量は少なくても、十分に濃厚な立花ワールドを堪能することができた。とりわけアトスには心を鷲掴みにされてしまった。次は村上春樹の「雨天炎天」を読んでみようと思う。
2016/01/12
TARO
ギリシャとトルコの遺跡を立花隆と写真家の須田慎太郎が巡った記憶が記述されている。その地域に数多く点在する遺跡について述べた文章と写真がほぼ交互に展開される。ギリシャ神話やキリスト教や哲学などと絡めて、争いなどによって破壊され朽ち果てた遺跡と共に、遥か彼方となってしまった過去の栄華が語られる。遺跡群を見下すように、終末思想のなか、粛々と祈りを捧げる聖山アトスの修道士たち。俗世の我々は、いずれは収束するなか、同じことを繰り返し続ける。螺旋状の渦の中に吸い込まれるように永遠回帰の海に漂い飲み込まれていく。
2024/07/07
kthyk
誰の本であったかメモはないが、量子力学は古典力学が示した直感的世界を瓦礫化したというところは納得だ。なるほど、時代はいつもブリュンヒルデによりもたらされた神々の黄昏にあるのだろう。ピラネージはローマの廃墟を描いたがバロックローマはグランド•ツアーの巡礼都市として復活する。ニュートンと同時代、ペストと大火後のロンドンはクリストファー•レンのセント•ポール大聖堂で再建される。この書は後に宇宙根源神として崇拝された牧神パンがキリスト教の世界支配によって「偉大なるパンは死せり」と歌われたエーゲのニッチな文と写真。
2024/03/20
ポテンヒット
紀行文というよりは思索本。エーゲ海周辺の数々の遺跡に赴き、千年単位で時を感じ、語られなかった歴史に思いを馳せる。宗教や神話の神々は優勢であったものが生き残り、劣勢のものは迫害され破壊される。けれど、完全に消滅するのではなく新しい宗教の中に入り込み生き延びる。反面、死を避けられない人間は無に帰す。しかし、万物は永遠に回帰し我々もそれと共に回帰する。ニーチェから古代ギリシア人まで、先人の英知や歴史を通して人間とは何かを問うた傑作。本の半分を占める写真も美しく、文章の添え物ではなくコラボレーションである。
2022/05/31
マーク
36 行ってみたい。トルコギリシャ。立花隆の原点かな。1982年の旅を2005年に書籍化 ◎トルコ、エフェソス。現存最大の古代都市←ローマ、アテネは現代都市の下に埋もれている。アルテミス像! ●ネクロポリス 死者の都市 サルコファガス石棺 黙示録、世界の終焉を語る20ページ、ヨハネが流刑地パトモス島で書いた。 ●アトスの修行僧は他人に興味なし。自分と神、のみ 東方教会の典礼は大変神秘的、美しい。 ●ミレトス遺跡。紀元前6世紀 万物は水、のターレスは、天文学者、科学者。黄道、地軸の傾き、365日。タレス
2023/01/08
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