黄色い牙 改訂版
黄色い牙 改訂版 / 感想・レビュー
遥かなる想い
第83回(1980年)直木賞。 秋田でマタギとして生きた男たちの物語である。継憲と さと、辰吉と八重…それぞれの 想いが絡み合いながら、マタギの物語は 進む。継憲の肝の座り具合が心地よく、 隔絶された 世界で生きる潔さのようなものを 醸し出している。 最後は 儚さも感じる、骨太のお話だった。
2018/07/13
hnzwd
講談社文庫版を入手して読了。熊の小説というとほとんどがパニックホラー物になるところが、物語として読み応えのあるものになっています。時代が大きく変わろうとしていく昭和初期。マタギの里の変遷を一人の男の人生を追う形で描いています。マタギの伝統を守りたいと思う一方で、守る必要があるのかと感じる心。伝統を捨て、好きに生きている男を見て感じる怒り。もっと読まれてよい一作と感じました。
2013/08/31
あっちゃん
直木賞受賞作という事ですが、あの作家さんだよね?(笑)知らなかった!さて、最初は 方言や古い言葉に手間取りましたが(何しろ訳注が無いからワカランのはワカランまま)とにかく、マタギの実生活が時代の流れとともに描かれていて、重厚でいながら、エンタメ感もある、良作でした(  ̄▽ ̄)
2018/04/22
いつみ
直木賞作品。kindle本。私の中の志茂田景樹はなんだったんだろう。やっばり先入観は目を曇らせるのね。時代の流れの中でマタギの伝統を守る男の生活を緻密に真摯に綴った一冊。面白いというより読み終わって正座して、はぁーと息を吐きながら凄い生き方があるんだなあと余韻に浸る。読めてよかった。
2015/05/19
サパタ
大正から昭和にかけた阿仁マタギ社会の緩やかな衰退の物語。急速な産業化に伴う環境破壊、不穏な社会情勢など当時を知る勉強になった。熊谷達也「邂逅の森」も良かったが此方の方が重厚だ。連続ドラマ化したら面白いと思うが熊ものは難しいかな?
2017/06/24
感想・レビューをもっと見る