柄谷行人書評集
柄谷行人書評集 / 感想・レビュー
Happy Like a Honeybee
柄谷氏の書評集は珍しいと思ったら、一冊の本としては初めてだったようだ。 大岡昇平や坂口安吾をもっと読むべきと痛感。 思想と読書量は比例するとの印象を受けた。 自分のような一介の労働者にこそ、世の中を渡り歩く良書が必要だ。
2018/03/11
渡邊利道
2000年代の朝日新聞紙上での書評、60-80年代の書評、文芸時評、そして全集や文庫などの解説の三部構成。ざっと見ると、90年代に断絶があり、それ以前が作家の内面にあるモチーフが、人間の構造的な「実存性」を写し出し作品として現出するという感じで、社会反映論的なものを拒絶して一種の抽象性を求めているのに対し、以後ではもっと大きな歴史の結節点として作品を見ている。これが作者いうところの「病気が治った」ということなのだろうが、この場合どうしてもやはり病者の光学の方に魅力を感じる。
2017/12/10
ピラックマ
大ボリュームだが、数頁の書評や解説集で体力使わず楽しめる。毎夜寝る前に1本づつじっくり2ヶ月楽しみました。文学論集もそうだったが文藝批評家としての柄谷氏の文章はどれも熱く圧巻の展開である。吉本隆明への若い頃の憧れとの反駁のようなものがない交ぜになった”言語にとって”への解説が印象に残った。
2018/02/03
りゃーん
柄谷行人が、私が好む武田泰淳「富士」と古山高麗雄「湯たんぽにビールを入れて」という傑作を絶賛して嬉しかったし、逆に、スゴいんだろうが、よく意味が判らない、坂上弘や小川国夫のスゴさを解説する手際は神技クラス。例えば、今、島本理生や綿矢りさの文学的意義を解説して面白い批評家がいるのか?現代の前衛と云われる中原昌也や木下古栗の難解さを平易に説明できる批評家がいた試しもない。奇をてらって仮面ライダーや地下アイドルを論じるだけで、こういう時評・書評で面白いものを書ける批評家が既にいないのだと本書を読んで呆然とした。
2018/01/15
yoyogi kazuo
元妻の冥王まさ子の文庫解説が読める。あと70年頃の文芸批評であちこちに喧嘩腰なのが読める。21世紀に入ってからの朝日の書評は気の抜けたビールみたいなもの。せめて東浩紀の本でも取り上げる元気もなかったか。
2024/05/25
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