大阪で生まれた開高 健
大阪で生まれた開高 健 / 感想・レビュー
マサトク
開高健生誕80周年記念本。色々な書き手による、開高健にまつわるエピソード(やはり大阪時代のものが多い)や、対談、当時の書簡など。ファン・ブックではあるけど、開高健の凄味と、チャーミングさがどちらも味わえる。楽しんで読めた。
2015/01/15
あかふく
酒の雑誌『たる』主宰高山恵太郎による企画で、大阪時代の開高健、酒に関わる開高健という視点からまとめられた人物評。柴田祀男、佐治敬三、その妻けい子への手紙もいくつか収録。
2013/10/22
TTK
『新しい天体』は、おれ[藤本義一]の判断によれば、絶対にジャン・ギャバンの食イヨル画面から生まれたものだと思う。「いやァ、ほんまに旨そうに食イヨルなあ」……おれが映画に心を奪われて、シナリオ・ライターを志し、徒弟制度に入った頃には、まだ、画面には味覚もあった。「濡れてる絵が撮れたでェ」とカメラマンは興奮していい、監督は満足気に頷いたものだ。……おれたちは戦後の食糧難の飢餓状態の中で、画面から誘発された味覚や嗅覚で、より深く飢えを覚えながら充足した気分に酔ったものだ。p.106
2024/03/23
ナッキャン
あとがきにもあるように、大阪が版元の開高健の評伝。綴られる言葉が、各執筆者の開高氏への愛情と憧れ、生き生きとした大阪弁がやっぱりええやんか。最近文學・政治・社会評論を読み漁って思うのは、昭和って自由を掴まえようとするエネルギーが溢れてるよね。評論の闘争が文化・社会を育てたって感じ!いつ頃からか知らんけど、評論家の不在で御用聞の言葉が一杯溢れ、開高氏が命懸けで課した『一言半句』魂の籠もった鮮烈な言葉は現代のモノ書諸氏には無いナ。最後に涙目の名句はやっぱり佐治氏の「ほん機嫌よう遊びなはれ」これも一言半句やんか
2023/06/16
ラム
開高生誕80年を記念し主に大阪で交流のあった所縁の人物の回想、同時に開催された記念展の図録を収録 7編の思い出と評伝、佐治敬三との対談からなる 特に坪松博之(サントリー広報部)の壽屋時代の評伝は90頁程度のボリュームで如何に作家開高健が誕生したか、当時の佐治と壽屋宣伝部の様子が精彩に描かれており集中一読ませる その他、菊谷匡祐(アマゾンにも同行)の「酔いたいための酒ではなく精神を活性化させるために飲んでいた」等の酒に纏わる回想、料理人として「オーパ」取材に同行した谷口博之の実感「心に通じる道は胃を通る」等
2020/11/14
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