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シルヴィウス

シルヴィウス

シルヴィウス

作家
アンリ・ボスコ
天沢退二郎
出版社
新森書房
発売日
1988-11-01
ISBN
9784931207103
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シルヴィウス / 感想・レビュー

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syaori

一体何を見ていたのでしょうか。「百の心、ひとりのメグルミュー。百人のメグルミュー、ひとつの心」というメグルミュー一族の見ていた夢をまた、私も見ていたのでしょうか。「気のふれたシルヴィウス」、彼が一族を去った顛末、賢人バルナベが語るその物語は夢の中の出来事のようで、どうして彼は家族から去ったのか。眠りと死と夢との境が曖昧なこの物語のなかで、彼は結局どこへ行ってしまったのか。分かっているのは、一族の放射する魅力に絡め取られて私もまたこの静かで美しい一族に結びつけられてしまった気持ちがしていることだけなのです。

2017/07/19

cue.1

○◎以下「マリクロワ」と併せた感想。著者は《人間の全存在を表現するには石や風のように実在することが必要と/夢想の詩学》人間・霊魂・魔物の日本語にアーム/âmeのルビをふり、これら位相を丹念に描写する。従って自己像を限定した上で葛藤や変容を描く小説的カタストロフは弱いが、この人間観は能や舞踏と驚く程似ている。物質と非物質をたゆたう描写は白眉。「シルヴィウス」は父系一族で気がふれた人物と伝えられる。訳者は愛と生の原型の物語と言うけど私にはアーティストの原型の物語だった。音楽劇が美しい。→マリクロワに感想後半

2015/01/17

vellum6e

アンリ・ボスコは翻訳では児童文学よりの本が多いが、メグルミュー一族をめぐる一連の物語の翻訳はあまりなく、読めるものは少ない。そのなかで本作は外伝、小品だがその独特の空気感を存分に楽しませてくれる。最後が怒涛の展開で、えっ、と息を呑んだその後に広がる余白。またいつか読み返したい。

2017/11/18

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