南の島のティオ
南の島のティオ / 感想・レビュー
おはち
人を呼ぶ絵はがきや良い子を連れていく天の者といった不思議な話がすっと心に染みていく短編集。ティオやエミリオを見ていると自分にはできないことばかりで悲しくなるけれど、ちゃんと自分にできることを知ってあげようと思う。そしてできることを一つずつ増やしていこう。全ての短編のタイトルと挿絵が話の良いところを凝縮していて素敵。
2020/06/21
七月せら
太陽の光をたっぷりと浴びて輝く海と山、人々。モーターボートや小型飛行機、ピックアップのエンジン音が低く空気を振るわせて。自然の恵みと近代技術の知恵が交じり合うティオの島は、訪れた人々を幸せな気持ちにする。それはきっとこの島の人々がそれぞれに満ち足りた日々を送っているから。ゆったりと流れる時間の隙間に時折、神々や精霊の声を聴きながら。
2018/09/10
hirayama46
どこか概念的な「南の島」を舞台にちょっと不思議な話を集めた連作短編。ラテンアメリカ文学を意識しているのかな、というマジックリアリズムを中心に据えながら、自然や文明に対するメッセージ性は池澤夏樹の本道と言えるでしょう。異国的な部分と日本人作家的な部分の共存しているところが面白いですね。帰属する故郷のある旅人の風情。
2018/12/15
ゆき
★★★★☆:不思議な事や神々の存在が身近に感じられる南の島。外の世界からいろいろと便利なものが持ち込まれ、それらは忘れ去られてゆくのだろうという危うさも漂う。ゆっくりと静かに流れる時間と、あるものをあるがままに受け入れることができるおおらかな人々。読んでいるだけで心が癒されていく感じ。
2013/11/21
小葉
◎ 南の島の青い空、潮風、透き通った珊瑚の海、子供たちの笑い声、目に見えない精霊や神様・・・そんなものがいっぱい詰まった珠玉のようなお話。
2000/07/05
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